「そんなに夢のことばかり考えないで、お前はもっと確かなことに心を向けなければいけない。学者達についてもっと熱心に勉強しなければいけない。学問というものは、みな確かな本当のことばかりで、深くはいると、夢よりもいっそう不思議なおもしろいものだ。ところが夢の方は、みな不確(ふたし)かな嘘ばかりで、眼がさめると消えてなくなるではないか」
けれど王子にとっては、夢もやはり学問と同じように、確かな本当のことであると思われました。ただ、国王から言われた通り眼がさめると消えてなくなるのだけが不満でした。もし、眼がさめてからも夢が消えなかったら……! 夢を捕(つかま)えることが出来たなら……!
「そうだ、夢を捕えてやろう」と王子は考えました。