タイトルのドイツ語、
das (ダス)は、冠詞で、中性名詞1(主格)・4(対格)格につく、
Gemeine(ゲマイネ)は、形容詞で、1・4格「共通の・一般の」という意味、
ということは、Gemaeineの後に中性名詞がこなければならないことになる。
中性名詞の何がくるのかと考えたとき、Leben(生涯・人生)ではないだろうかとドイツ語初心者である私は推察するのだが・・(初心者なもので、語法等、間違っていたら失礼します)
「ダス・ゲマイネ」
当時、私には一日一日が晩年であった。
恋をしたのだ。そんなことは、全くはじめてであった。
二十五歳。私はいま生れた。生きている。生き、切る。私はほんとうだ
「人は誰でもみんな死ぬさ」
・・・と書いた太宰治の、今日は誕生日でもある桜桃忌。彼は、桜桃が好きだったのだという。
ある昼下がり、交差点で信号を待っていた。日傘をさした私は、後ろのくだもの屋を振り返った。店の庇の陰にさくらんぼが笊盛りで並んでいる。冷たい艶で、つんと澄ましたさくらんぼたちを、私は、自分の熱い掌で包み込んだらどんなに気持ちがいいだろうと思い眺めていた。
それにしても・・・日の下のさくらんぼの赤が少女の頬とすれば、黒い影の下の紅い粒は艶女の頬か。艶女の頬を熱した両手で挟んだら、やはりひやりとするのかもしれない。自分の想像に自分で噴出しそうになったとき、信号が変わった。人々は歩き出した。私も日傘を傾けて、艶女の頬に背を向け歩き出した。女の人生ということばを思い描きながら。

0