国際女性デー?
初めて国際女性デーという日を知ったのは、確か数年前のテレビロシア語講座だった。会社の男達が、妻や会社の同僚に何を買うのか、という会話をしている場面だった記憶がある。三月なのが偶然で、ふーん西洋にも「女の子」関連の祭があるのか、といった感想しか持たなかった。
次に聴いたのは先週の土曜日。この季節の祭を紹介するイベントでのことだった。しかし、ロシアからの留学生や講師が説明したのも上と似たような事だった。男性から女性へ贈り物をする日、と。
それで筆者は、宮本百合子が「
婦人デーとひな祭」で語る由来に驚く事になる。(書かれていた当時は、「女性デー」は「婦人デー」だった。)日本では、今はどうしているのだろう?
作者はかつて、ロシアで三月八日を迎えたことがある。「
三月八日は女の日だ」の中で、作者はその日の女と男の姿を描いている。
今から76年前、1930年のモスクワでの女性デーは、「春の雨が盛にふって」いた。
作者とおぼしき「日本女」が入り込んだ集まりでは、演説また演説の連続。真面目に解説する作者の気持ちはわかるがそろそろ読者の頭がぼーっとしかけた頃に、
——タワーリシチ、これで今夜私のところに記名表の来ているだけの演説は終りました。誰かもっと話したい人はありませんか?
数百の聴衆、シーンとしている。二秒ほど経って若い男の声が叫んだ。
——ない(ニェート)!
つり出されて今度は矢継早にそこここで急いで、
——ない(ニェート)!
——ない(ニェート)!
日本女の隣の拇指の太い男は、愉快そうな笑顔だ。同感してるのである。СССР労働青年の気分に。
——では、これから休憩二十五分。すぐ芝居にうつるが賛成ですか。
すごい拍手だ。拍手の音が細そりした老年の婦人議長を舞台の方へふきとばした。
女性デーの意義とは別に最も面白かった、もしくは生き生きしていた場面。数十年経っても、気持ちは変わらない。
参考
「国際連合の会議および行事」(国連広報センター)より、「女性」
http://unic.or.jp/schedule/futur.htm#22

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