今から50年以上も前、世の中に
「白亜の恋」 という言葉が流行った。 本日公開
「安吾巷談 天光光女史の場合」は、その「白亜の恋」の顛末にかこつけた安吾の恋愛感と結婚感。
ー「つまり正一氏が結婚反対の理由としてあげている骨子は、
一、政治意見の異る二人に結婚生活は両立しない。
二、男には妻子があり、天光光のために妻子をすてた。したがって、他の女のために天光光をすてる危険がある。
いかにも当然な心配だ。
この二つの事柄については大いに論議の余地があるが、娘の父たる者が、最も常識的な立場で不安を感じるのに不思議はない。ー
男は三度目の結婚だった。女の父君の心配はいかばかりか・・・である。それを押し切った二人の勇気を褒め称えるべきか?
ー結婚生活というものは、屁理窟の世界ではないのである。思想が違うから、とか、人種が違うから、とか、そういう一般論では割りきれないもので、男女二人の関係は、いつの世に限らず、男女二人だけの独特の世界だ。各人の個性と個性によって均衡を保つか破れるかする世界で、つまり二人だけで独特の世界を生ずるもの、決して公式によって割りだすことができない。だいたい男女関係が公式で算定できるなら、万事占師にまかせてよろしく、小説家など存在する必要はないのである。ー
そりゃそうである。男女関係が公式で算定できるものなら、シェークスピアは、困り果てたに違いない。紫式部も自分の才能にもてまして、宮廷生活をしていたに違いない。よって「源氏物語」もなかっただろう。
日本で始めての女性議員、
園田天光光さん 、背筋が伸びている。大正生まれの女性である。

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