今年から加わった作家・下村千秋を、筆者は今まで知らなかった。
うっかり読みはじめたが最後、喉首を掴んで最後までひきずられてしまった。呆然としている。
最後の場面、父の言葉が脳の中を超えて「森と更けた村の往還へ」、そして筆者の住む家の向こう、道の彼方を暴風のように吹き抜けてゆく。
「
旱天実景」
心の底からの憎しみに、ぴったり寄り添うもの。
「
泥の川」
阿見町サイトの「
下村千秋」によると、彼は様々な傾向の小説を書いていたらしい。上の作品のような農民小説、社会の暗黒面を描く暴露小説やルンペン小説、純小説、大衆小説、そして童話。
「赤い鳥」が初出の作品もあるようだ。いったいどんな作品なのか、楽しみである。

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