今日は
「玉の輿の日」なのだそうだ。
さて、今日のお話は、その玉の輿にのれそうな器量よしの娘が一人、親の借金のために苦界に身を沈める。
村井長庵記名の傘 国枝 史郎
ー娘を売った血の出る金・・・
まあまあクヨクヨ思いなさんな。娘が孝行で何より幸い、縹緻はよし気質は優しく、当世珍らしいあのお種、ナーニ年期の済まねえ中に落籍(うけだ)されるのは知れたこと。女氏無くして玉の輿、立身出世しようもしれぬ。ー
世の中、悪い奴がいるもので、そのお金を狙った者ーそしてそれをまた狙った者と話が二重三重となって進んでいく。最後に笑った者は?
国枝の筆の勢いに、スピード感ある展開に、圧倒されながら最後まで一気に読める。これぞ時代劇短編の面白さである。

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