「死せる作家の会」 より1955年に亡くなった作家が今年から、青空文庫にお目見えする。知名度の高いところでは、
坂口安吾・
豊島与志雄・
宮武外骨・
下村湖人・
下村千秋だろうか。また本のデザイナーというべき、
装丁家の恩地孝四郎。かつて本は読むものでもあり、観るものでもあったのだ。
「企画展 「装丁浪漫ーブックデザイン懐古ー」
竹久夢二を師匠として、研鑽を積んだ恩地。
「砂がき」 竹久夢二
ー僕の畫室に集まつて一所にモデルを雇つて勉強してゐた人に、恩地孝四郎、久本信、小島小鳥、田中未知草、萬代恒志の諸氏がゐた。ー
ー 私の油繪や水彩や草畫の個人展覽會をやつたのは、今からもう十數年前のことで、第一回は京都の圖書館の樓上だつた。その頃の個人展覽會で一日數千の入場者があつたことは未曾有だつたし、自分の作品を見に來てくれる人に感謝する心持で興奮して、事務室の窓のところから、蒼い秋の空を見ながら、一所にいつてゐた恩地君や田中君と手を握り合つて涙をこぼしたものだつた。あの頃のやうな純粹な心持はもう再び返つては來ないだらう。ー
美しい本は、つい手にとってみたくなる。そんな本が少なくなったように思うのだが。

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