本日公開は、
「犬物語」 内田魯庵
ー俺かい。俺は昔(むか)しお万の覆(こぼ)した油を甞(な)アめて了つた太郎どんの犬さ。其俺の身の上咄(ばな)しが聞きたいと。四つ足の俺に咄して聞かせるやうな履歴があるもんか。だが、人間の小説家さまが俺の来歴を聞くやうでは先生余程窮したと見えるね。よし/\一番大気※(「火+稲のつくり」、第4水準2-79-87)を吐かうかな。ー
「吾輩は猫である」 夏目漱石
ー吾輩(わがはい)は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当(けんとう)がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。ー
犬からみてもネコからみても、人間というものはどうやら理解しがたい動物らしい。だからといって、彼らは、人間を理解しようとする努力を惜しまない。あるときは、正面から見据え、あるときは、斜めからじっくりと観察する。彼らは、決して人間に憧れはしない。あくまでも人間を観察できる自分を楽しんでいるのだ・・
・・とここまで書いて足元をみると、うちの愛犬が流し目を送ってくる。 それが結構色っぽいのだ。・・飼い主の思い込み??

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