関東防空大演習を嗤う 桐生悠々
初出:「信濃毎日新聞」
1933(昭和8)年8月11日
この記事により桐生悠々は、新聞社を退社するはめになる。この記事が世にでて8年後、
1941年の今日、反骨者は、癌でなくなった 。
癌細胞には勝てなかったということか・・
ー近代的科学の驚異は、赤外線をも戦争に利用しなければやまないだろう。この赤外線を利用すれば、如何に暗きところに、また如何なるところに隠れていようとも、明に敵軍隊の所在地を知り得るが故に、これを撃破することは容易であるだろう。ー
この記事から72年が経った。赤外線を利用して敵の所在を知る様子を、私たちはテレビで見ている。戦争を見ている。泣き叫び、逃げ惑う大人たちを見ている。指をくわえて斜め下から見上げる、もしくは差し出されたマイクに大人の口調で訴える、泣くことができない子どもたちを見ている。それでも戦争が終わることはない・・

0