食い倒れ放浪記　復活編

やばい店を見つけてしまった。

小田急相模原の割烹料理屋「銚釐」である。
実はこの店、3年ほど前の開店時に一度入ったことがあるのだが、この時は開店直後だったせいか極端にメニューが少なく、がっかりして店を出てそれ以来、一度も暖簾をくぐることがなかったのだが、久しぶりにぶらりと訪れてびっくりした。
見事に店が熟成していたのだ。

魚を主にしたメニューがずらりと並び、そのどれもが新鮮だ。
カウンター席の目の前に水槽があり、そこに鯛や平目などがのんびりと泳いでいて居心地も良い。



なかでも驚いたのが、魚の揚げ物類である。
久しぶりに頭から尻尾まで骨一本残さずバリバリ喰えるカサゴの唐揚げに行き当たった。
まさに絶妙の揚げ加減である。しかもその値段が580円だというから驚きだ。
店一番のお勧め巣、鳥の唐揚げも旨い。



新鮮な魚介類が500円から700円程度の値段で存分に楽しめる。
生のグレープフルーツやレモンを自分で絞って入れるサワー類も380円という安さだ。

店の名は「銚釐」と書いて「ちろり」と読む。
酒を温める鉄瓶のことである。
小田急線「小田急相模原駅」から徒歩5分。
路地を隔てて営む、行きつけのさかな処「丸勝」も、うかうかしていられない名店の出現である。



相模原市湘南4-3-28 TEL：0427-44-5962

１年３ヶ月ぶりにblogを再開することにした。
この間、相変わらずあちらこちらと徘徊し、美味いものも不味いものも食べてきた。
体脂肪という名の鎧は厚くなるばかりである。

しかし…。

美味いものはやはり美味い。

わかっちゃいるけどやめられないのだ。

ちょっとお洒落な飲み屋のカウンターで、ぽつんとひとり静かに酒を飲んでいる女性を時々見かけるだが、その背中を見るたびについつい思ってしまう。

「かっちょいぃぃぃぃぃ」

頬杖つき、文庫本を捲りながら、レモンが添えられたカクテルなんぞを静かに飲んでいる。
その緩やかな後姿が魅力的だ。

こういう女性を見つけると、すぐに声を掛けたがる男がいるが、こんな男は無粋の極みである。だいたい女性の美しさというものが全然わかっていない。というより、もともと、そういったものを感じるセンスというものを持ち合わせていないのだろう。



確かに、男性に声を掛けられることを期待して、カウンターでひとり酒を口に運ぶ女性も中にはいるかもしれない。しかし、そういう女性からは、こういった穏やかな美しさが漂ってくることはない。

ひとりの時間を静かに楽しんでいるからこそ、その周りに穏やかで魅力的な空気が漂っているのだ。




テーブル席から、カウンターにちらりと目をやり、美しい曲線を描く女性の背中についつい見惚れる。

「何見ているの！」

途端に、テーブルでいっしょに飲んでいた女の子から鋭い叱責が飛ぶ。
我に返って前を見ると、女の子が唇を尖らせて、「あたしもう一杯飲んじゃうからね」と、三日月みたな瞳をして生ビールのジョッキを掲げている。

これはこれで可愛いから困ったものだ。←おれが（笑）




【松本梁山泊】
松本市中央2-3-38 ＭＹビル2Ｆ TEL:026-337-6710 　営業時間:17:30〜02:00 定休日曜日（月曜祭日の場合は月曜日）　場所:伊勢町通り入口斜め前、ロイネットホテル向い側ビルの２階
隠れ家的な雰囲気の漂う創作料理の店。ビルの2Fにあり、最初は入りにくい雰囲気もあるが、店内に入ってみると雰囲気は非常に良く、ひとりならば、カウンターに座ってじっくりとお酒をいただきたくなる店である。テーブル席も旨い具合にレイアウトされていて、個室感が漂う。もちろん料理も美味い。

10月の初旬に、web仲間のtomoさんからメールが来た。

10月の中旬に、「ジャンさんと東京の陣場山に鍋をやりに行くつもりなのですがいっしょにどうですか？」

こちらは10月から、半年以上休み続けていた仕事に、いよいよ正式復帰する身。早々、平日、仕事を休んで山に行くわけにもいかず、夜の部だけお付き合いさせてもらうことにした。

しかも宴会場は、自宅から便の良い小田急線の相模大野にしてもらうという我がまま振りである。

定時きっかりに仕事を上がり、東海道、相鉄、小田急と乗り継いで、相模大野駅前の串焼きの店「鳥陣」に飛び込む。
2階の宴会場には、すでにtomoさんご家族、ジャンさん、副長さん、そして同じ甲斐駒ファン倶楽部の会員でありながら、僕がサボりっ放しのために、もう1年以上、顔を合わせていなかったエビちゃんもニコニコ笑って座っていた。

副長さんとは、最近、山以外の場所…つまり飲み屋で、やたらと顔を合わせているような気がする。（笑）

あらためて乾杯をすると、何やら他のみんなが自分の荷物から包みを出して、お互いにお土産を渡し始めた。
げげげっ。こういうシステムになっていたのか？
こちとら、あわてて仕事場から飛んできて…というか、最初からお土産など用意する気もなく、空身である。

けっきょく、もらう一方という、申し訳ない結果になってしまった。



奥さんと1歳になる槍子ちゃんを同伴したtomoさんは、笑顔が優しい好青年で、話の内容も落ち着いていて楽しい男だ。僕と同じく強烈な雨男であり、その悲哀振りを普段から身をもって味わっているという。
この日、密かに、僕とビールの飲み比べを企んでいたらしい。（笑）
どうりで、僕が生ビールを注文すると、tomoさんも「もう一杯！」と必ず注文していたなと、後になって気がついた。

ジャンさんとは初対面だが、同年代ということもあり、話題があって、ずいぶん盛り上がってしまった。山に対する感性にも、どこか似たところを感じたのは僕だけか。

えびちゃんを挟んで、僕とジャンさんがウルトラＱだの古今亭志ん朝だの、古い上にマニアックな話題を飛び交わし続けて、「わかんね〜よ〜！」と、えびちゃんの嘆きが飛ぶ。（笑）

そんなえびちゃんであるが、今月末にある久しぶりの甲斐駒ファン倶楽部の集会場所が、あまりにマニアックで、僕と共にいまいち状況を理解しておらず、またしてもふたりでインチキな画策を練る。

副長さんは、何時も通りにこやかな笑顔を絶やさずに聞き上手振りを発揮していたが、北アルプスの話題になったとたんカバンから山地図を取り出して、皆の爆笑をかった。どんな時でも山地図を持ち歩いているらしい。

ｗｅｂ仲間とは不思議なものである。

ネット上で付き合っていくうちに、自然と気の会う仲間の集いが出来て、感性の会わない人間は、何時の間にか別の場所に離れていく。
だから、たとえ初対面でも、旧知の仲のように話が弾むのだ。

10月の頭に「幽」の取材で、名古屋に遠征し、東海地方のはうちゃんやASAKOちゃんに初めて対面した僕だが、これからますます、交友の場が広まっていきそうで楽しみだ。




　　　　
相模大野駅前　居酒屋割烹「鳥陣」〒228-0803 相模原市相模大野8-6-16
営業時間:17:00-24:00 定休日:日曜日 TEL042-742-3703
創業30年の田舎造りの割烹居酒屋。店長は元フランス料理のコックというが、見た目は気さくな魚河岸のオヤジさんのようだ。メニューも多く、しかもリーズナブルなので、グループで利用するのに良い。刺身が新鮮だ。

『いつかみた青い空』のえみ丸ちゃん、『ポンコツ膝の独り言』の千春ちゃんと、夕暮れの根岸の森林公園を散歩してきた。

根岸森林公園は、日本で初めて洋式競馬が行われた根岸競馬場の跡を利用した広大な公園である。

もともと競馬場であったため、起伏の少ない広々とした芝生の上には、仲睦まじそうな若いカップルや、愛犬と遊ぶ家族の姿もやけにのんびりと見え、そんな光景の中を、涼しい初夏の風が吹きぬけて、なかなか素敵な情景が目の前に広がった。



隣接する根岸競馬記念公苑には、競馬好きだったその頃の友達と、学生の頃に足を運んだことはあるのだが、森林公園をのんびりと歩くのは、実は初めてのことである。灯台元暗しとは、よく言ったものだ。

3人で散歩と言いながら、何時ものことながら、僕は自分のペースで、自分の行きたいところに、勝手に歩いて行ってしまうので、後から歩くふたりにとっては良い迷惑である。

それでも、そろそろ実を付け始めた梅の木に囲まれた木陰のベンチに3人で腰を下ろして、ずいぶん長い時間、取り止めのない話をしたりもして、初夏の夕暮れをのんびりと楽しむことが出来た。



陽が翳り始め、そろそろ風が冷たくなってきたところで、公園の前からバスに乗り、夜の横浜へ、酒と料理を求めて移動する。
あいも変わらず物凄い人の波の横浜駅西口を歩きながら、「何でこんなに人が多いんだろう」と不平をつぶやく僕に「私達もその中のひとりだよ」と諭すふたりの言葉に、なるほどふたりとも大人だ、と心の中で頷きながら、目的の居酒屋に入る。

たとえ平日でも、夜になると混み合う横浜駅近辺の飲み処は、多くの店が時間制を布いており、この日選んだ『土間土間』も、2時間30分が制限という。時計を見れば午後の6時。まあ、ちょうど良い頃合だろう。

千春ちゃんもえみ丸ちゃんも、屈託のない明るい顔で、楽しい話題の多い人なので、僕も肩の力を抜き、リラックスして同じ時間を過ごすことが出来た。

笑顔を交わしながら、楽しい会話が弾む中で飲む酒は、やはり独りでちびちびやるより、ずいぶんと美味しいものだなあと、最近、つくづく思う僕である。



ところで・・・　『土間土間』のクーポン券をあらかじめ印刷して、ザックに突っ込んできたつもりだったのに、さりげなく広げてみたら、間違えて丹沢の資料を印刷した紙を持ってきていて、何の役にも立たなかったのは、ふたりに内緒。（笑）



　　　
居酒屋『土間土間』横浜鶴屋町店 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-16-6
レスポワール295ビル2F TEK:045-290-8566 営業時間:月〜金 17時〜翌5時
日本調の木の香漂う、ちょっと隠れ家的な雰囲気の漂う店。暖簾で仕切った個室調の席も多い。チェーン店ではあるが、なかなか落ち着ける店である。料理も旨い。