雨季は完全に去ったようで、ここ数日の香港は、まさに夏日と言える強烈な日差し。
深水歩の駅を出ると、まだ露天の多くは閉まっている午前中であるにも関わらず、強烈な日差しが路面から照り返している。
この陽射しと暑さの中、雑踏を歩くのが香港での暮らし、暑さを避けるためか休日のモールは、人で溢れる。
稽古は、当たりから返しに集中した正面打ち一教から。
柔らかく、相手の重心を上げるような感覚で肘を返すようにしながら、相手の腕を返して行く。
表裏ともに、返しから膝前の押さえまで、うねるような感覚で動く。 膝の前に納まったときには、自分の重心も落ちていること。
この感覚を繋ぎながら、床上の押さえまで進み技を完成させる。
当たらず、掴まず、引っ張らず、接点と繋がりを生かしながら、相手を弱い方向に導いて床上の押さえへと進んでゆく。 掴まず、手を開いて、接点を意識した稽古は、技の精度を上げ、身体の使い方も浸透させる。
出遅れた場合、差し込まれた場合を想定しての正面打ちからの変化技。
出遅れて完全に受け止めてしまった相手の力を、逃がし、いなして、入身投げ、小手返しなどの技へと繋げる。
いなした後の状況で、一番入りやすい技へと繋げるのが理想であり、個々の状況においての選択肢としての技の引き出しをどれだけ持っているかが重要となる。
早くから技を決めず、あくまで目の前の状況に合わせて技の動きに入る。 そのために形の稽古を繰り返しているのであり、各形の動きは、技の引き出しを自分の身体に埋め込むための稽古、そして、それは咄嗟に引き出せなければ意味を成さない。
自由技、応用技の稽古は、それを身体に浸透させるのに必要だと考えている。
飛び受身で背中、腰などを打つことが多いと聞いたので、飛び受身の稽古に時間を取ってみた。
豪快に飛んでいる飛び受身も、その動きを解析してみれば、基本的には前受身の動き。 まずは、それを解析して見せて、難しいことではないということを理解してもらう。
前方への飛び受身は、両肩取りの呼吸投げをベースに、まずは、一番低い位置から前の手を着くところから開始。 この時点では、完全に前受身と同様。
ここから、少しずつ高さを上げ、個々の高さでスムースに回れるようになったところで、徐々に高さを上げて行くことで、最終的には、高い位置からの飛び受身が可能となる。 一気に高さを上げるのではなく、段階を踏むことで、身体の対応もしやすくなる。
前方への飛び受身が出来るようになったので、続いて、小手返しなどに使う横への飛び受身。
交差取りにした腕を振るようにして横への飛び受身を取る稽古となるけれど、これも基本的には前受身の動き。

前方と同様に、まずは一番低い位置で手を着くところから始めて、次第に高さを上げて行く。
ある程度の高さになると、身体のどこかを打つようになるので、もう一方のフリーになっている腕の使いかたを見てもらった。
身体が落ちる前に、この自由になっている腕を先に畳に落とし、畳を打つように使うことで、身体を畳みに強く打つことを避け、身体に衝撃を伝えないようにできる。
受身を取る際に、腕はセンサーやショックアブソーバーの機能を果たしてくれる。
「どんなに飛ばされても、手(腕)を接地させれば、受身は取れる」、船橋でご指導いただいたT先生の言葉はまさに真理であり、自分も稽古の際に、そのまま実演しながら使わせていただいている。
自分が受けてきたご指導は、技と同様に自分の身体の引き出しとなっていることを、稽古を取る立場になって改めて感じている。
後半は受身の稽古に当てた今日の稽古。
単純な動きの繰り返しであり、運動としてもきつい稽古を、目的を持ってこなし、良い稽古ができたと言う向上心を持った稽古生が集う道場であることを感じられたもの嬉しかったこと。

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