戻ってくると香港もなかなかに寒い。
今回の帰国は、前半仕事、後半合気道という感じで、忙しかったけれど実に充実した日々を過ごすことができた。
土曜日の道友会のT先生の稽古。
流れと繋がりを意識して相手の重心を取る。出会いから崩し、そして技へと相手との接点を切らさずにコントロールする。 流して、当てる、自分が居た10数年前とは格段に違う稽古が行われている。
稽古後、T先生、助さん、O氏、K氏らと食事を兼ねて飲んだ際にも、話題は稽古の話。
自分たちが白帯だったころ、土曜日のT先生の稽古では、きっちりと形の動きをご指導いただいた。 T先生ご自身も意識と稽古が変わったとおっしゃられていたけれど、初期において形の動きをしっかりと叩き込んでいただいたのは、自分たちには大きなプラスとなっていると感じる。
日曜は朝から審査の後、師範の稽古。
師範は自分には太陽のような人であり、お目にかかった際に、おっしゃられる第一声が自分には何より嬉しい。 今回もその一言で暖かい気分で居られた。
稽古は、繋がりをメインにした柔らかい動き。 船橋の稽古では、ずいぶんと掴ませていただき、感触を伝えていただいた。 師範の技に感じるのは、いつも柔らかさと暖かさ。
そして、今回、全ての面倒を見ていただいた自分たちを鍛えてくれたS先生とも久々に稽古させていただいた。 S先生に感じるのは、ゆるぎない中心。 自分たちが何をしても、ほとんど跳ね返されてしまう。 自分たちの今日があるのは、S先生のおかげでもある。
きつい稽古ではあったけれど、実に楽しい稽古と充実度だった。
投げられる快感がそこにはあった。 頭から落とされるような投げであっても、そこにはまだ加減が感じられた。 たぶん、本当に投げられていたら、自分たちには受けも取れなかったと思う。
午後からは六○会の稽古。
稽古後に納会があるので、角さんが来ると聞いていた。
角さんは、現在複数の道場をまかされている門下のエースであり、自分たちを引き上げてくれた兄弟子でもある。 合気道においては、自分が絶対に敵わないと感じさせる資質を持っている。
自分がここまで来られたのには、実に多くの恵まれた出会いがあったと感じさせる。
稽古後の納会では、S先生、角さん、助さん、そして自分と当時の創生期の船橋で稽古したメンバーが久し振りに顔をあわせた。
創生期の荒稽古、「S先生の稽古では、そのうち死人が出る」と、複数の筋から師範に御注進があったとの秘話も今回初めて耳にした。
納会の後、角さん、Kさんらの角さん道場グループともう一軒。
歳は離れているけれど、不思議と気持ちの繋がる人でもある。 そこには、もちろん、相当な気遣いも感じる。 第一子誕生、今後は子育ての話も加わるだろう。

今回の帰国では、本当に関係各位の皆さんにお世話になった。
師範、またS先生のご配慮、T先生、角さん、道着も貸してくれた助さん、暖かく迎えてくれる道友会のメンバー、稽古で相手をしてくれた人たち、多くの人に支えられて、ここまで来られた。
マレーシア、フィリピンと渡り、一時期、繋がりが稀有に感じられる時期もあったけれど、やはりこの関係は揺るがないと改めて感じる。
日本からも忘れられた存在になってしまったのではと不安を感じたのもそのころ、正直、その時期が一番辛い時期でもあった。
お蔭様で今回は大きなものを持ち帰ることができた。
これを機に、再度初心に戻り、自分の稽古を組み立てて行こうと思っている。
次の稽古から、また新しい一歩。

0