施設のブッキングの都合で、一時間遅らせての稽古。
連絡が徹底できなかったので、いつも通りに行きエレヴェーター ホールのベンチで待機。 予想通り、香港人のT氏がやって来た。 一時間遅れでの稽古であること告げ、ベンチで待機してもらう。

座っている時間に話し出すのは、やはり合気道のこと。
稽古と技に対する考え方、開祖が語った宇宙の摂理、集中と気配を読むこと、武術と修練の関係、剛と柔、意識と力、合気道のスタイルなど、話し出すと話題は尽きない。 やはり他の外国人と同様に、技よりは日本武道の持つ精神、求道といった観点からの質問が多い。
時間になれば道場に集い、技の動きを稽古して汗をかいて帰る。 ただそれだけでは、単なるスポーツクラブと変わらない。 そこに哲学と精神性が加わってこそ武道。 これまで学んできたことを再確認して、自分の稽古に生かして行かねばと再認識した。
稽古は、片手取り呼吸法から。 しっかりと取らせた腕を「抜いて」不安定にして崩す。
一人一人に手を持ってもらい、「抜く」感覚を体感してもらい、「実と実」の関係を「虚と実」に変えることを意識してもらう。 一旦相手に当てて、そこからフッと力を抜いてもいい。 掴まれた瞬間に指を張り、腕、肩の力を抜く、これだけで相手は掴み所を失って不安定になる。 不安定な状態の相手を振りかぶり崩すのには、もう力はいらない。
新しい人の参加があったので、片手取り呼吸法の間に前後の受身を体験しもらった。
柔道のご経験があるとのことで、受身に対する感覚が良く、すぐに回れるようになった。 あとは、回数を重ねてゆけば十分。
受身の後は、皆に合流してもらい、入身・転換の体捌き。
経験者には、接点と力の方向をずらすことで相手の力をいなして泳がせることに集中して動いてもらった。 有段者諸氏が上手く相手をしてくれ、単なる体捌きの稽古が非常に熱を帯びたものになった。 実に単純な動きではあるけれど、全員が嬉々として集中して稽古をしている。
基本的な動きの中にこそ、奥義が隠されている。 接点と角度を変えること、これだけでかなりの時間が経過した。
この体捌きから、四方投げへ。
腕の使い方を変え、相手の腕を常に伸ばすように導く。 転身の後は、相手の腕をしっかりと畳み込んで切り落とし。 要所での位置関係を確認しながら、新しい人にもここから合流して稽古してもらった。
四方投げの後は、入身投げ。 片手取りからの手の切りと入身、転身から転換の足捌きと合わせて、相手をどうコントロールするか。 緩いつなぎで相手の頭を自分の肩へ導き、腕を真下へ切り下ろす。 腕の振りは出来るだけ大きく。 自分は、真上へ突き上げるくらいの感覚で振り上げている。
腕は振り上げても、重心は下がる。 身体の上下で逆の方向への動きとなるが、これが身につけば、技の安定は格段に増す。
座技呼吸法で終了。

0