亜熱帯の香港にも、それなりの四季がある。
ここ数日は湿度も下がり、からりとした晴天が続き、爽快な風が吹く陽気は、まさに秋の気配。
出掛けに、昨日ロンドンから戻ったというD氏からの電話を受け、さらに爽快な気分で稽古へと向かった。
稽古は交差取りの一教から。
相手にしっかりと取らせたところから、自分の腕を抜いて崩す。 ガチとガチ、力で当たれば単なる力比べとなる。 言い換えれば、実と実の関係を実と虚に変えること、抜けば相手は崩れ腕は上がる。 今日の稽古では、崩しを重視、一教へは流れに応じて表、裏へ。 形よりも崩しと流れを重視して動いてみた。
同じ崩しから、入身投げへ。
交差取りの崩しからは大きく崩せるので、腕を大きく振るように使い、相手背面へ踏み込んで転身、首に添えた手で相手をコントロールするように相手の頭を自分の肩に運んで振り上げた腕で真下へ落とす。 転換からの崩しは、うねるような感覚で、これも同様に力ずくではなく、相手を走らせコントロールすることを楽しみたい。
激しく動いた後は、呼吸を使いながら、ゆっくりと正面打ち四方投げ。
出るタイミング、踏み込みの深さなど、相手との位置関係を考えながら、ゆっくりと呼吸を使いながら動く。 呼吸は乱れない速さで動けば、歩いているのと同様に、いくらでも運動を続けられる。 自分のペースで動くこと、さらには受けの時も自分が主導権を取れるように動きをコントロールできるように。 さらには、ゆっくりとした動きで正確な動きを身に付けたい。
静の動きから激しい動の動きへ、再度交差取りへ戻っての腕極め投げ。
相手が自分の腕を取りに来る、まさに腕に触れる瞬間に動く。 腰を切って抜刀するような感覚で出る。 打ち技と同様、相手の出るタイミングに集中して、言うなれば、機先を制する動き。
相手の腕を伸ばし、体勢を崩した後は、相手脇へ自分の腕を差し入れて、身体を振るようにして前方への投げ。
続いては、逆半身から同様の捌きで隅落しへ。
切り落としは、棒押しに押すのではなく、腕を振るように切り落とすか瞬発力を付けて。 瞬間的な動き、キレのある動きが技に威力を増加させる。
いつも通り、相手に思い切り持たせての座技呼吸方で終了。
稽古後の会話で、稽古内容が初級者には少し難しいのではとの話あり。
確かに、抜く、いなすなど、いきなりでは難しいかも知れないとは思う。 一、二、三で形を動くか、崩しに集中するか、さらには流れで持って行くか、織り交ぜて稽古をしているつもりではあるけれど、できれば身体の使い方を感覚として掴んで欲しいと思っている。 そのため形は非常に少なめ、当初はできなくても、稽古について来てくれれば、出来るようになると考える。
実際、抜きにしろ、座技呼吸法にしろ、かなり良いところまで来ている。

稽古後、ユーロから戻ったD氏、T氏らとシーサイドへカフェでランチへ。
稽古場所から、少し歩いたところのシーサイド ロードに沿って、綺麗なカフェが並ぶ通りがある。
時々は、稽古後にみんなと出向いて、遅いランチを取りながら語り合うのも良いなと感じた。 今日は、特に天気も良く、海からの風も心地よかった。

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