2013年11月3日(日祝)、
愛知県立大学にて、バラカタンザニアこと島岡由美子氏の講演会が行われました。
バラカジャパン河野より、講演会の様子をレポートさせていただきます。
この講演会は、愛知県立大学の学園祭に合わせて行われた、全学同窓会での講演会として開催されました。これは、学園祭という華やかなイベントとともに、文化的、学術的なことにも目を向けてほしいという同窓会役員の方々のご意向で、毎年、学園祭に合わせて同窓会を行い、学内外から講師の方をお招きして、講演会を開催されているとのこと。そして今年は、同大学の卒業生でもある由美子氏に依頼があり、開催に至りました。
前身の愛知県立女子大学の頃の卒業生、という方から、現役の学生さん、一般の方々も含めて、幅広い層の方々が、全国各地から来られており、講演会の会場でも、あちこちで「お久しぶりです!」「お元気そうですね!」と交わされる明るい声が聞こえ、アットホームな大学の雰囲気が伝わってくるようでした。約130人を超えるご来場で、会場は満席でした。
講演会は、まず、由美子氏から、島岡強氏との出会いから、アフリカに渡ってからの挫折を乗り越え、島岡氏と共に様々な実践をしてきて、26年経った今感じていること、「夢」と「志」の違い、島岡氏の志が「我等が志」となって、由美子氏にも周りの人々にも受け継がれ、「アフリカ独立革命」が展開されている様子が伝えられました。由美子氏ならではのエピソードとして、アフリカ民話との出会いや、本を書くことへの思いも語られました。
その後、現地の様子を写真を交えて紹介、新しい展開として、ペンバ武道館の建設や、ティンガティンガでアート絵本を製作中という報告もありました!
最後の質疑応答は島岡強氏も対応され、質問者の方々からも、熱い思いが伝えられていました。
予定時間をオーバーして終了し、終了後も、島岡夫妻の周りには大勢の方々がお話に行かれていました。
由美子氏の講演の中で、タンザニアの布のことから、インド綿に話が飛び、インドに行った話が紹介されました。
まだ産業革命が起こる前の18世紀、イギリスでは、初めて輸入されたインド綿の気持ちよさに人々が夢中になり、毛織物が売れなくなり、輸入過多となりました。そこで産業革命が起こり、綿製品を大量生産できるシステムが作られていきます。すると、イギリスは、インドからの綿製品の輸入を禁止。その後、植民地としたインド国内で、綿製品の生産自体を禁じ、イギリスで作られたものをインドに買わせるように仕向けました。
これは、20世紀にインド独立の父ガンジーの手によって、インド綿が復活されるまで、長く続きました。
ガンジーは、自分たちの作った綿花を使って、自分たちの手で作った綿布を身につけよう、と自ら糸をつむぎ、死ぬその瞬間まで、インドの綿布を身にまとっていました。インドで、ガンジーの使っていた糸車、ガンジーが暗殺された時に着ていた、血の付いた綿の布を見て、由美子氏は、今のアフリカも同じだということと、自分が関わっているアフリカ製品プロジェクトを継続する意味を、心から感じたそうです。
*インドのデリーにある、ガンジー記念館にて
アフリカプロジェクトの主旨は、原材料の輸出ではなく、製品の輸出。そして、地理的にも意識的にもある距離、偏見を覆すような、アフリカの文化芸術の素晴らしさを伝えていくこと。自分は、タンザニアの綿花を使った製品であり色柄の美しい、キテンゲ、カンガをいつも身に着けて、アフリカの素晴らしさを伝えていきたい、と、改めて心に誓ったそうです。
それを島岡氏に伝えると、「そんなこといつも俺が言ってるだろう!」と言われましたが、と笑って話す由美子氏でしたが、誰よりも島岡氏の近くにいて、誰よりも多く、島岡氏の言葉を聞いている由美子氏でも、「そうか!」とひらめくことが、26年を経てもある、ということを聞いて、私はとても驚き、一方で、それがとても心に沁みました。
大切なことを知ること、人から話を聞くこと、聞いて考えることはとても大切ですが、そこから本当に理解する、理解が自分の物になる、と言いますか、「頭と心が一致する」感覚になるのは、人それぞれであり、言葉を聞いた時の状況、気持ちの状態、その時その時によって違うのだと思います。
ある人が、さまざまな経験、経緯を経て、その考えに至ったことを聞いて、自分は自分で、経験を積んで、考えて、自分なりに、その考えに至るまでの道を歩まないとそれは本当の理解にはならないのだ、と思いました。
由美子氏の講演の中で、一番、私が心に残ったのは、「出会いは、偶然ではなく、必然である」という言葉でした。由美子氏にとって、島岡氏との出会いも必然であり、今年インドに行って、そのように感じたことも、必然だった。すべては偶然ではなく、天によって、人によって決められた必然であり、今出会えていることが必然と思うと、「一期一会」を実践できる。今日と同じ明日はなく、明日ではない今日を、精一杯、自分の役割をやりきることが大切、というお話でした。
私にとって、島岡氏、由美子氏と出会ったことは、人生の転機であり、「もっとつまらないはずだった自分の人生にありえなかった出来事」でした。でも、いつまでもそう思っていることは、ある意味で「逃げ」なのかもしれません。今こうしてアフリカプロジェクトに関わり、関わり続けていく、続けさせてもらえるということは、何かの意味があることで、自分の役割を果たさなければいけないことなのだ、出会ったことは必然だったと胸を張って言えるように、自分がしていかなければならないのだ、と思いました。
そして、由美子氏がごく自然体に、島岡氏の「我が志」を、「我等が志」と言うように、私自身も、等身大の自分で「我等が志」と言えるようになりたい、と思います。
終了後は、いつもバラカの自社展示会@名古屋でも大変お世話になっているご協力者の方々と、島岡夫妻を囲んでの会食でした。
「出会いは、偶然ではなく、必然」という言葉が、やはり、皆さん心に残っておられ、それについての話も弾み、「志」についても熱く語り合うひとときでした。
由美子氏曰く、講演の中で一番伝えたかったのは、このことだった、伝わっていてよかった、とのこと。言葉で気持ちを伝え合う大切さも、改めてかみしめました。
私自身は初めてお会いできた方々もいらっしゃったのですが、皆さん本当に、何十年も前からの友人、家族のようにあたたかく接してくださり、次の展示会もとても楽しみにしてくださっていました。これは、ますます頑張らなければ!と決意を新たに、大阪に戻りました。
以上、島岡由美子講演会@愛知県立大学のレポートとさせていただきます。
最後になりましたが、今回の講演会にご来場くださいました皆様、そして、ご協力くださいました皆様、開催にあたり、大変お世話になりました、愛知県立大学全学同窓会の役員の皆様、この場をお借りして、心よりお礼申し上げます。
*愛知県立大学全学同窓会役員の皆様と
*講師紹介をする、同窓会役員の太田真知子様。ご縁のはじまりは、太田真知子さんが由美子氏の著書「我が志アフリカにあり」を読んだことだったそうです。
●講演要旨は、
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●愛知県立大学のHPは
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●愛知県立大学全学同窓会のHPは
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