ザンジバルで、ウディ(御香〜香木、乳香、樹脂などで作られたお香)を焚くのは、家庭だけではありません。
お店やオフィスでも、毎朝仕事の前にウディの香りで満たすのが、ここの習慣です。
日常だけでなく、冠婚葬祭にもウディは欠かせません。
結婚式や誕生会など、お祝いごとにもウディ。
死を弔い、悲しみを悼むときもウディ。
ウディ(お香)を焚き、香り立ち込める中で心を込めて祈るとき、幸せは広がり、悲しみはうすらぐような気がします。
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これは、病弱だった子供が2歳になったことを祝う会。
民族楽器を持参して、少年少女の祈りの楽隊がやってくると、おもむろに、ウディが焚かれ、おだやかに香りが立ち込めると、祈りと音楽が始まります。
女性たちは、共に声を合わせて祈るところ、音楽に合わせて踊る場面をしっかり心得、祈る会をもりあげ、自らも大いに楽しみます。
お祝用のアロマグッズ一式。
すてきな香炉ですね。これまたお揃いのおしゃれな器にウディが入っていました。
左の長細い壺には、ローズウォーター(バラ水)が入っていて、会の途中で、おもてなしの1つとして、参加者全員にふりかけてくれます。このローズウォーターは、薔薇の自然な香りそのままで、とってもいい匂い。
これをびしゃびしゃと盛大にふりかけて回るので、大いに盛り上がります。
香りも含んでおもてなしをするって、楽しくって、いいものですね。
これは、初漁に出る前の船の上、船の安全と大漁を祈る儀式です。
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この日のために遠い村から駆けつけてくれた長老が、出漁前の船に乗り、自ら持参したウディを焚き、コーランの一節を唱え始めると、漁師たちも神妙な顔で祈りに加わり、ところどころ声を合わせて唱えます。
香炉などなくたって、誰もこだわりません。
共に心を合わせて祈ることができればよいのです。
海の男たちが祈る声は、立ち昇るウディの煙と香りとともに、ザンジバルの真っ青な空と海に吸い込まれていきました。

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