白浜温泉は古くから京阪神地区から温泉旅行に適した場所にあり、南海電鉄では難波から和歌山市駅を経て、国鉄紀勢本線に直通する「黒潮号」を昭和9(1934)年11月17日に運行開始した。その後、昭和30年代になると国内旅行が身近になり、新婚旅行等において伊豆や南紀白浜、宮崎などの日本の代表的な観光地の一つになった。
国鉄では、昭和33(1958)年12月1日から、天王寺〜白浜口間を当時新鋭であったキハ55系気動車を投入し、全車座席指定制準急列車「きのくに」の運行を開始した。翌年には南海電鉄難波駅発着の定期臨時列車1往復を増発した。
この増発に伴い、南海電鉄では国鉄キハ55系と同水準のキハ5501形とキハ5551形気動車を新製し、南海線内は特急と同等の停車駅(泉佐野・岸和田・堺・新今宮)で運行し、国鉄線内の種別については急行扱いとして運行を開始した。
しかし、モータリゼーション等の影響により昭和60(1985)年3月14日に廃止した。
<難波駅発行【昭和49年7月6日発行】>
◎ 昭和49(1974)年10月1日の運賃改訂以前の連絡急行券の為、国鉄の急行料金100円(100キロまで)及び、南海電鉄の特急料金100円の計200円を収受していた。
<箕島駅発行【昭和54年12月27日発行】>
◎ こちらは昭和55(1980)年4月20日の運賃改訂以前の連絡急行券の為、国鉄急行料金が500円に値上げされている一方、南海電鉄の特急料金は200円に据置きされており、6年の経過で国鉄の経営が悪化している事を物語っている。

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