昨日から愛知地球博が始まった。人気パビリオンの長蛇の列をテレビは映していた。その列の向こうに見えるのは、観覧車。
日本に初めて観覧車がお目見えしたのは、明治40年に東京は上野の博覧会なのだそうだ。
「絶景万国博覧会」小栗虫太郎
近づけば見上げなければならないが、遠くから見ると糸引き車のような観覧車。その観覧車を眺めて、江戸生まれの元娼妓の脳裏にふっと沸いたものとは?その老婆が観覧車を一台、貸しきった理由とは?
老婆と観覧車の距離より、遠い老婆の過去。その過去に手が届くと錯覚した老婆の末路。
過去を雛壇に並べる。若き頃男に貢がせたものを、雛祭りの日、雛壇に飾る。黴の臭いの中にある肉欲の臭い。それを宝石として抱える江戸に生きた女。それら全てを断ち切る明治の女。女が女を裁く。それは、新しい女が自らの手で、古い女から脱出することでもあった・・

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