都会の十二月は明るい。その明るい日々に、空っ風が突き進む。コートの襟を立てた都会の人たちは、うまく人とぶつからないようにして、横断歩道を早足に駆け抜ける。学生時代の私は、ダッフルコートに短いブーツを履いて中に入ろうとした。いつしか歯を食いしばっていた。そんな東京にいる意味を考えた。雪の無い都会にいる事の理由をひねり出そうとした。たんなる「都会への憧れ」ではなかったか。そんなシンプルなものではない、もっと複雑なものよと自分に言い聞かせた。今日、なぜこんなことを書く気になったか。
本日公開の学生詩人桜間中庸の
「東京」
「不景氣」の共通項に私の目は止まり、「あわただしい師走は故郷遠く來てゐれば殊更に淋しい。」の最後の一行に懐かしさでキーボードに向かった。
えあ草紙「東京」

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