あけましておめでとうございます。
今朝、青空文庫のページを開けて、感慨深かったのは、演劇関係の三好十郎と久保栄が公開されたことだ。特に三好の「炎の人ーファン・ゴッホ」、劇団民芸の故滝沢修さんの主演で見たかったのだが、見る機会がなかった。それがとても残念だ。
その縁で、今年の第一号は、その三好をとりあげてみよう。私の心持を、この作品が代弁してくれている。
「歩くこと」 三好 十郎
私は歩きながら、自分が今している仕事のことや思想のことや生活上のいろんなことを、論理のじゅんを追って考えたりは、ほとんどしません。歩きながらの見聞やそれの引きおこす感覚を味わうのにいっぱいで、チャンとしたものを考えることは私に不可能なのです。まず、犬が歩いている状態に似ているのではないかと思う。ただ仕事や思想や生活のことが、ときどきチラリチラリと頭にきます。その断片や、またはその基調になっている色あいや調子のようなものが、フッと頭にきては、しばらくとどまっている。そのうちに、目が美しい木のシルエットをとらえたり、耳が思いがけない響きをとらえたりすると、その瞬間に、さきほどの思いは完全にどこかへ飛びさっています。
今年も私は歩きます。そしてとらえたものをこの「読書blogーすいへいせん」に書き綴っていきたいと思います。
今年も拙文におつきあいのほどよろしくお願いします。

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