インターネットの図書館「青空文庫」の収録作品を紹介する有志による非公式ブログです。
そして、中一日おいた次の日の夕方です。村の若者が一人、やはり猿爺(さるじい)さんの居どころを探しあぐんで、村から半里ばかりある丘のふもとを通っていますと、どこからか、キンショキショキ、キンショキショキ……という気持ちのいい音が聞こえてきました。 「おや」 若者はびっくりして立ち止まりました。するとやはり、キンショキショキ、キンショキショキ……と、今まで聞いたこともない不思議な音が響いてきます。若者はその音に聞きとれて、ぼんやりその方へ進んでゆきますと、まあどうでしょう。