グリム兄弟による新しい話が又一つ加わった。
「杜松の樹」
雪の上に赤。どこかで読んだことがあるなと思いつつも、読み続けていく。
それから一月(つき)経(た)つと、雪(ゆき)が消(き)えました。二月(つき)すると、色々(いろいろ)な物(もの)が青(あお)くなりました。三月(つき)すると、地(じ)の中(なか)から花(はな)が咲(さ)きました。四月(つき)すると、木々(きぎ)の梢(こずえ)が青葉(あおば)に包(つつ)まれ、枝(えだ)と枝(えだ)が重(かさ)なり合(あ)って、小鳥(ことり)は森(もり)に谺(こだま)を起(お)こして、木(き)の上(うえ)の花(はな)を散(ち)らすくらいに、歌(うた)い出(だ)しました。五月(つき)経(た)った時(とき)に、おかみさんは、杜松(ねず)の樹(き)の下(した)へ行(ゆ)きましたが、杜松(としょう)の甘(あま)い香気(かおり)を嚊(か)ぐと、胸(むね)の底(そこ)が躍(おど)り立(た)つような気(き)がして来(き)て、嬉(うれ)しさに我(われ)しらずそこへ膝(ひざ)を突(つ)きました。
月日の描写の美しさの後、予想のつかない展開が待っている。
母たちの感情をどう読むか。今日が今日だけに、どうにも気になるのだ。

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