どんよりと曇り灰色に映る街は、寒波の再来を思わせたが、外へ出ると、気温は思ったより高く暖かい。 暦の上でもすでに春、多分、今年はこのまま暖かくなって湿度も上がり、短い春から一気に蒸し暑い香港の夏へと進む予感。
春節明けの深水歩は、人手も多く雑多な賑わいを見せていたけれど、「初九開市」、「初十開市」と書かれた新年の札が貼られた個人営業の店はまだ長い新年の休みを取っている。
新しい人が加わったので、入身・転換の体捌きから。
未経験の人には、とりあえず動きを、経験者には、接点と力の方向と角度を変えて相手を崩すことを意識して動いてもらった。 接点(掴まれているところ)の角度をずらし、相手の力を前方に放つことで対手を崩す。 自分の中心を保ち、相手の重心を中心から接点へと移動させる。
動いた後も相手が崩れていなければ、体捌きは本来の意をなしていないことになる。

この体捌きから四方投げへ。
腕をゆるやかに螺旋状に使い、相手の腕を伸ばすように。 腕を伸びきらせてしまえば、どんなに力の強い人でも、その力は使えなくなる。 「相手の腕を伸ばすように」これは、表裏ともに共通する崩し。
しっかりと相手の顔が見えるところまで転身して、相手の肩口に納めた腕を真っ直ぐに切り下ろし。 踏み込みの深さ、位置を意識して、自分の技の間合いを掴むことも大切なこと。
さらに基本技の正面打ち入身投げ。
相手の正面への打ち込みを刷り上げるように合わせて、相手背面へ入身。 転身で身体の向きを変えれば、相手と自分は、背と腹を合わせて、同じスタンス、姿勢で、同じ方向を向いて立っている。 ここから、相手の首へ手を添えて転換、相手の頭を自分の肩口へ運べば、相手はすでに崩れている。 振り上げた腕は、振るのではなく、真下へ下ろすような感覚で。
逆半身片手取りからの外回転投げ。
逆半身の前足を送りながら、掴まれている腕の手首を立てるようにして、相手の肘を上げて腕を巻き込むように下へと導く。 引き足と同時に腕を低く導けば、回転投げのポジションへと収まる。
引き足の角度は、相手の脊髄のラインと90度の関係。 そこから踏み込んで、極めている相手の腕を押し出すように投げる。
巻き込んで引き落とす腕を、さらに巻き込んで転換すれば、腕は自然に絡むようにして極まり、「腕がらみ」となる。
この腕の使いは、本当に面白く感じる。 実践性が、どうこうと言われる合気道であるけれど、こういう身体の使い方を体感して身につけて行くことは、大変楽しく興味深いこと。 この身体の使い方を学んで行くということに面白さを感じてしまえば、それ自体が楽しく止められなくなる。
武道は、本来の身体の動かし方を再学習する場とも言われている。
受け身をメインに、かかり稽古で呼吸投げの後、座技呼吸法で終了。

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