実に忙しかった一週間。 最終日となる今日も、午前中は仕事。 なんとか格好をつけて、遅れずに深水歩の道場へ向かうことができた。
しばらく寒さの続いた香港も、年明けくらいから、いくぶん温かくなっている。
このまま春の陽気へ向かって欲しいけれど、多分、春節の前後にもう一度寒波が襲う時期が来るだろう。 そんなことを思いながら、小雨の中を市政局の建物へ急いだ。
稽古は、中心を意識した運足、体捌きの後、片手取りの呼吸法から。
このところの稽古では、何かと話すことが多かったので、今日の稽古では、「黙って稽古する」ことを方針としようと決めていた。
頭で技の理合いを理解することは、もちろん重要ではあるけれど、技の動き、体の使い方を身体に覚え込ませることは、さらに重要なことでもある。
身体が自然に対応するようになるには、有無を言わせないほどの反復練習しかない。
頭ではなく、身体に覚えさせること、西欧人のメンバーにも、このことは上手く伝わった。
四方投げの動きは、多分、自分が最も稽古で動いている動きだと思う。
稽古では、入身・転換の体捌き、腕の使い、相手との繋がりと位置関係などを感じ取るようにしながら、黙々と動いてもらった。
正面打ち一教では、合わせ打ちに出るタイミング。 相手の身体の畳み込み方と崩す方向などを探るように、集中して動く。 相手の動き出しに身体が反応するように出る。
これも理屈ではなく、目の前のことに集中して、とにかく動くこと。
入身投げも同様に出るタイミング、転身、緩い繋ぎでのコントロールと切り落としまで、目前の状況に集中して動く。 目の前への集中が、余計な考えを無くし、自分と相手との関係だけの隔離された世界を作り出す。
左右の表裏だけの四通りだけの動きを集中して繰り返していると、瞑想に近いような空白の意識と集中した世界が作り出される。 波に乗ったような感覚で自然と躍動するように動く身体。
「合気道は動く禅である」と言われることもあるけれど、この一種、真空状態になるともいえる状況と時間を、ぜひとも体験して欲しいと思う。 もちろん、毎回の稽古で体験できることではないけれど、一度でも体験すれば、決して忘れられない感覚となる。
座技呼吸法で終了。

見取りの技の後、稽古生の中を廻り、一人一人と当たって行くのが合気道の稽古のスタイル。
稽古の中で、さらに自分と当たりたい人が居れば、どんどん向かってきて欲しい。
まだまだ、自分のところの稽古は大人しいと感じる。
帰宅してTVを見ていると鹿島神宮での神事のニュースが放映されていた。
神事の行の前に、禊として船漕ぎ運動の「鳥船の行」、さらには、入水しての「振る玉の行」。
どちらも合気道に取り入れられている。 次回の稽古では行おうと決めた。

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