最近気に入っているイタリア人歌手「Patrizio Buanne」のライヴ DVD。
古代ローマの競技場に作られたステージで、アルバム「The Italian」からの13曲を熱唱する。
昨年の8月に撮影されたというこのライヴは、傾きつつあるイタリアの夏の日差しが差し込む古代ローマの遺跡の壁を背景にしたステージと、流れるオーケストラのサウンドをバックに、パトリジォが登場するシーンが美しい。
この歌手の魅力は、吹き抜けるような圧倒的な声量と若さの躍動感、実に爽快なほどに声が出る。

一曲目の「Il Monde」が終わる頃には、空気がやや黄色がかった夏の夕方の風情に代わり、その中に夕涼みのようにゆったりと座るリラックスした夏の服装のオーディエンスが美しい。
曲目は、アルバム「The Italian」に沿ってスタンダード ナンバーと代表的なイタリアン ナンバーが続く。 数曲が終わるころには、すでに、すっかりと日は落ち、暗くなった後にはライトアップされた競技場の壁がステージのバックを飾る。

ステージの核となるのは、やはり「Che Sara」。「誰も先の人生はわからない、そして、何時召される時がくるかもわからない。」と前置きして入るこの曲は、自分も大好きな曲。
日訳では「階段を手さぐりで歩いているようなもの。」と唄うこの曲は、まさに現代にこそふさわしいと感じる。 そして、力強い曲調からは、 明日のことはわからない、それならば、今の一日、一日をしっかりと生きようというメッセージが伝わってくる。
一気にテンションが上がった後は、ソフトな「Volare」〜「Chao Chao Bambina」で幕。
余韻の残る、素晴らしいステージが観られる。
伸びのある声と躍動感のある表情が素晴らしく、まだ「くすみ」の出て来ない若さを、ちょとうらやましく感じていることに気づいて、自分が歳を取ったことも再認識した。
「Patrizio Buanne」、「Michael Buble」と並んで、今、自分が気に入っている若手シンガー。 機会があれば、ぜひ。

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