アフリカの生活綿布カンガは、次々に新しい柄が出て、星の数ほど多くの種類がありますが、その一方、古くから愛されて、何度も何度もリバイバルされている柄のカンガもあります。
なかでも、キストゥという柄のカンガは、150年以上も前からあるもので、大変おめでたい柄として人気を保っています。
このキストゥ柄のカンガには、メッセージを入れないのが決まりごとだったようなのですが、時代は変わり、今は、キストゥ柄でもメッセージが入っているのもあります。
色は、赤、茶色、ブルー、黄色、緑など、数種類あり、小さな丸や星型などを細かく散らせながら、まっすぐなボーダーを幅を変えて各所に組み合わせているのが特徴です。
昔は、結婚式に欠かせないカンガだったそうで、花嫁衣装はもちろん、結婚にまつわる儀式にはキストゥカンガと決まっていたそうです。だから、結婚式の前には、新郎方から、花嫁方に、キストゥ柄のカンガを贈るというのも、慣しの一つだったとか。
もちろん、今の時代でも、花嫁衣装として、キストゥ柄のカンガをまとう人もいますよ。
花嫁は、さらにこの上からすっぽりキストゥカンガをかぶって、新郎が来るのを待つのです。
キストゥは、祝福のカンガでもあり、同時に花嫁を守る魔よけとしての意味合いもあるそうです。
ファトゥマさんのお気に入りは、これ。
緑とオレンジ、カンガ独特の色遣いが素敵です。
お母さまが愛用していたカンガなんですって。母娘二代にわたって使われてきたキストゥカンガは、やわらかく、とてもやさしい肌触りになっていました。
私自身も、キストゥ柄のカンガを愛用しています。
色が違うと印象ががらりと変わって楽しいので、赤、黄色、青の3種類が我が家にあり、しかも、この柄は何かと使いやすいので、2ペアずつ(合計4枚ずつ)持っています。
これは、去年の名古屋での第2回ティンガティンガ展の際の写真です。
縁起もののキストゥカンガ作ったブラウスと、もう一枚のキストゥカンガを巻きスカート風に巻いて、お客様をお迎えしました。
私の隣に、着物姿で立っているのは、私の母です。
母は、着物をこよなく愛する人でしたが、アフリカの布カンガも大好きで、私が帰国するたびに、母に持参するお土産は、20年来カンガと決まっておりまして、新しい柄や言葉の意味を知るのを楽しみにしてくれていて、のれん、部屋の仕切り、肩掛け、鏡台カバー、バスタオル代わり、掛布、枕カバーなどなど、日常のあちこちで、カンガを楽しんで使っていました。
昨年のティンガティンガ展は、母も毎日会場に来てくれたのですが、私が着るカンガやキテンゲの服と、母の着物の色や柄を合わせようと、毎晩母と楽しく、翌日に着る服や着物を選んだのも、いい思い出となっています。
黄色いキストゥカンガも、かわいいでしょ。
時折、ザンジバル女性のまねをして、ジャスミンやバラなど、香りのいい花をカンガの上に置いて、移り香を楽しみます。
お菓子を焼いた日のおもてなしには、テーブルクロスにも凝りたいですね。カンガなら、手軽にテーブルを演出できますよ。
ザンジバル女性なら、誰しもが必ず持っているキストゥカンガは、ハレの日にぴったり。
幸福を呼ぶ縁起のいいカンガとして今も愛され続けています。

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