「ザンジバル女性の大好きなもの〜砂糖を使って作ろう!」
タンザニア便り2010-2006
ザンジバル女性の大好きなもの、いよいよ作り方実演に入ります。
皆さん、お砂糖の用意はいいですか?
まずは、鍋に水と砂糖を入れて、ぐつぐつ煮ましょう。
砂糖が煮立って、しゃもじでかき混ぜるのが、かなり重たいなと感じるぐらいまで粘ってきたら、一気に材料(乳香、巻貝の蓋、香木などに、数種類の香料をかけて数日置いたもの)を鍋に入れ、
さらによくかき回します。
水分が少なくなるにつれて、かきまわすのにも、かなり力がいるようになります。
水分がほとんどなくなったころに、数日前の準備で使ったのとは別の精油や香料をまた数種類、たっぷりふりかけたら、完成です。
熱々ですから、気をつけて、御盆に移して、
上からカンガをかけて、
約30分ほど 冷ましておきます。
冷めたら、台所から、部屋に戻りましょう。
(初めの記事の写真に戻りました☆)
カンガを取って、記念写真を撮っているところへ、7番目の末っ子セレ君がスススっとやってきて、ファトゥマさんの横にぴたり。ママのそばが一番いい甘えんぼ君なので、どうにも待ちきれなくなったようです☆
そばで見ると、こんな感じ。香木の周りに砂糖がしっかりからみついて固まっていますね。
もうおわかりのとおり、これは、ザンジバルの御香、スワヒリ語で、ウディといいます。
香呂は、炭を使う素焼きのものと、電気香呂がありますが、こちらは、炭を使う方です。この日は、停電で電気香呂が使えませんでした★
香呂に炭を一片入れて、その上にウディをちょっぴり置くと、周りの砂糖が溶けた後に様々な香りがしみこんだ木片が焚かれ、何ともエキゾチックな香りのする煙をたなびかせます。
昔は、多くの女性が家で御香を作っていたそうですが、今は、御香は買うもので、作り方を知っている女性はとても少ないです。
今回、ザンジバルの御香ウディの作り方を教えて下さったファトゥマさんは、ペンバ島に住んでいたころに、御香作りの名人と定評のあったザイナブおばあさんに頼んで、ウディの作り方を伝授していただいたそうです。
「自分の好きに調合してもいいけれど、薔薇の精油を入れることだけは忘れてはいけないよ」
と言われたとか。
(ザンジバルの女性は、バラの花が大好き。とはいっても、バラの花の美しさを愛でるよりも、香り重視なので、花の部分だけ摘み取って、枕元に置いて移り香を楽しみます)
写真にはファトゥマさんしか写っていませんが、ウディ(御香)作りをしていたら、いい香りが風に乗って辺り一面に漂って、その香りにひきよせられた隣近所の人たちがわさわさと見に来て、とっても賑やかでした。
ギャラリーの中には、初めて御香作りの現場を見たという人が多く、口々に、「今度、私にもウディの作り方を教えて!」とファトゥマさんに頼んでいましたよ。
ザンジバルの女性は、ウディ(御香)が大好きなので、ウディ屋もあちこちにありますが、店で大量生産されるものではなく、こうやって一部の家庭で作られたものをウディ屋が買い取って売っているので、そのウディの香りが気に入ったからといって、同じものを求めようとしても、それは無理というもの。作り手が同じでも、手作りなので、毎回香りは変わります。
ザンジバルでは、ウディの香りとも、一期一会なのです。
各家で、それぞれ好きなウディ香を焚いて大切な人を出迎えたり、自分自身も好きな香りに包まれながら過ごすためのあれこれ工夫している姿は素敵だなって思います。
日常の中で香りを楽しむ文化は、世界各国にありますが、こんなにお砂糖を使う御香というのは、珍しいのではないでしょうか。
ということで、ザンジバル女性の大好きなものは、「ウディ」こと、御香でした★

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