ジャンボ!(こんにちは)お元気ですか?
今日は、ペンバ武道館落成式の様子をお伝えします。
昨年の8月末から着工したペンバ武道館建設プロジェクト、12月に完成予定が、建築業者のポレポレペースに陥り、遅れはしましたが、4月15日に完成。そして、6月7日(土)に、無事落成式を行うことができました。
当日は、朝から準備を始め、
開始は午後1時。
主賓は、ザンジバル第一副大統領のセイフ・シャリフ(拙著「続我が志アフリカにあり」の中の「ザンジバル大統領選挙〜二十年の混沌の中で」に出てくる人物、過去20年間、4回の大統領選挙で、獲得票的には毎回勝っているのに、不正選挙で大統領になれないままですが、実質的にはザンジバル大統領であるべき人、ザンジバルで一番人気のある政治家です)
日本側は、在タンザニア日本大使の岡田真樹氏がお越しくださいました。
〜落成記念紅白試合〜
主賓が到着するまでの間に、岡田大使とスポーツ大臣の前で、ペンバ武道館落成の記念試合を、東アフリカ大会に行ったナショナルチームの紅白試合を披露。
ペンバの人々も、初めて見る「ジュードー」に興味津々で、大勢が選手たちの動きを見守っていました。試合に合わせて、簡単な柔道の解説や、空手との違い、また、「礼に始まり礼に終わる」、「柔よく剛を制す」、「自他共栄」、「精力善用」といった人生に通じる精神面の教えが根底にあることも伝えながら、試合を進めました。
最後の大将戦は、東アフリカ大会8連覇を成し遂げたマスーディVSアシュラフ(東アフリカ大会昨年は金、今年は銅メダリスト)のヘビー級同士の対決で見応えたっぷりで、観衆も、もりあがりました。
男子の紅白試合の後は、女子の試合を披露。東アフリカ大会で金メダリストのラユーと、銀メダリストのサルマの試合。観客も、女子も柔道に参加して、強くなれば国際大会でメダルもとれるんだという印象をもったことでしょう。
〜東アフリカ柔道選手権大会2014のメダルの授与式〜
その後、東アフリカ柔道選手権大会のメダリストたち(10名)のメダルと金一封の贈呈式。ちなみに、第8回東アフリカ柔道選手権大会は、ザンジバル、ケニア、ブルンジ、タンザニア本土、エチオピア、ルワンダの6か国が参加し、男子(100s超級、100s級、90s、81s、73s、66s、60s)、女子(63s、52s、48s)共に、参加したカテゴリーではすべてメダルを獲得して帰ってきました。(金2、銀3、銅5)
中でも、100s級 1位 金メダル マスーディ・アムルは、第一回大会から今年の第8回大会まで、8連覇達成しました!
〜ザンジバル第一副大統領の登場と、テープカット〜
メダル授与式の後に、主賓である第一副大統領セイフ氏が到着。外でペンバの民族舞踊グループがにぎやかに踊りながら出迎え、
あらためて、正面入り口で、ザンジバル副大統領と在タンザニア日本大使の岡田氏による、ペンバ武道館落成記念のテープカット。
そして、主賓、来賓があらためてステージへ上がって着席。そのころには、会場には、文字通り人が鈴なりで500人以上の人々が集まって、畳の外にしきつめたゴザの上にびっしり座ったり、その後ろにまたひしめきあってたっても尚、中に入れない人たちもいたほどです。
〜柔道〜投げの形の披露〜
ゲストがそろったところで、あらためて、柔道の形の披露と、3つの空手グループによる演武。
まず、柔道は、投げの形の披露を、長年ザンジバル柔道界の立役者としてがんばってきて、現在はコーチとして指導に回っているアリ・ジュマと、青空道場時代に7歳から始めてずっとアリ・ジュマの背中を追ってきたアザン・フセインの師弟コンビ。アリが「取り」(技をかけて投げる役)、アザンが「受け」(技を受けて投げられる役)をしました。
息の合った形(九つの投げ技)の披露に、鈴なりになって入っていた観衆も、シーンとして、一挙手一投足を見守り、アザンが、大きな音を立てて畳に投げつけられる場面では息をのみ、それなのに平気な顔で立ち上がって組み合っていくアザン。アリジュマがかっこよくアザンを宙に舞わせながら投げるのを口をあんぐりあげて見守るという感じで、見る側の驚きと真剣さも伝わってくるような数分間でした。
〜空手グループによるパフォーマンス〜
次は、空手によるパフォーマンス。
剛柔流、松濤館のグループはそれなりでしたが、最後に出てきたコンバット空手と名乗るグループは、まったくの我流で、空手なのに棒でたたきあったり、組み合って投げ飛ばしたりの何でもあり、まさに芝居小屋の見世物のようなものでしたが、これが大うけで、館内中が大笑いとなり、厳粛なムードが、一気に笑いへと移行してしまいました。しかし、この大笑いのムードもアフリカ的といえばアフリカ的です。また、20年以上前に、ザンジバル本島で柔道を教え始めた時は、入門者も空手も柔道も一緒に考えている者が多かったので、逆に少しタイムスリップしたような気になりました。
ペンバ島の人たちは、このような空手も柔道もいっしょくたに考えている人たちがほとんどでしょう。ペンバでも、ここからスタートを切るということなのです。
〜式典・スピーチ〜
その後、ザンジバル柔道連盟名誉会長島岡強、在タンザニア日本大使岡田真樹氏、情報文化観光スポーツ大臣アリ・バルク氏、そして、ザンジバル第一副大統領セイフ・シャリフ氏のスピーチへと進みました。
屋内スポーツ施設はもちろん、屋根つきのホールが1つもないペンバ島に、これだけの室内ホールが立ったのは、ペンバ島にとって歴史的なことであるということをセイフ氏が観客に伝えると、ペンバ島民も何度も大きな拍手で応えていました。
実は、第一副大統領セイフ氏も、スポーツ大臣バルク氏もペンバ島出身者なので、貧しく、未開発のペンバ島に、ペンバ武道館が完成したことの意義はだれよりもわかっており、まさに彼ら自身も長年望んでいたことだったので、スピーチにも熱が入っていたようです。特に副大統領のセイフ・シャリフ氏は、20分を超す長いスピーチでした。セイフ副大統領からの祝辞で、昼の1時から夕方4時半までの落成式一連のプログラムがすべて終了しました。
式典終了後、外に出てみると、いつの間にかペンバ武道館の横の木陰に、さとうきびジュースやら、焼きトウモロコシなどの屋台まで出ていて、ちょっとしたお祭り状態となっており、その後も、まだまだ人々は帰らずに、余韻を楽しんでいました。
私たち、ザンジバル柔道連盟も、ペンバ武道館の前で、記念写真、ぱちり!
落成式では、超満員となったペンバ武道館内で、記大観衆に見守られながらも、記念の紅白試合をのびのびとおこなった選手たちや、堂々と自然体で形の披露をしたアリ・ジュマ&アザンたちの姿に、島岡会長が、ザンジバル本島で20年にわたって教えてきた柔道を通して、体の鍛錬や技の伝授だけではなく、一人一人が、自分は世界のどこでも通じる人間であるんだという誇りを持たせるという精神革命の成果の1つを見ているような気持ちになりました。
(そんな感傷も、次に登場した空手グループの大爆笑パフォーマンス場面で吹き飛びましたが)
以上が、ペンバ武道館落成式の様子です。
これで、ペンバ武道館建設プロジェクトは一件落着。長い間、応援してくださり、ありがとうございました。
今週から、ペンバ武道館の方でも、入門者を受け付けて、地道な受け身の練習が始まっています。(ペンバ武道館での指導は、警官としてペンバ島に赴任しているハルファン選手が受け持ちます)
島岡由美子
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