明け方近くこんな夢を見た。
友達の劇団に客演することになった。
ある日友達であるその劇団の作・演出から電話が掛かってきた。
友達は言う。
「僕の家で今度の舞台の本読みをするんだ。
なんで顔合わせも兼ねて北野も是非参加してよ」
本読みは毎回友達の家のキッチンで行われるのだそうだ。
本読み当日、友達の家に行く。
キッチンに台本は置かれていない。
“あれ、台本はどこだろう?”
友達は言う。
「それじゃあ、本読みを始めます!」
友達はドサッとテーブルにチラシ束を置いた。
新聞に折り込まれているスーパーマーケットの宣伝チラシだ。
そのチラシの裏に鉛筆で台詞が書かれている。
“まさか?!”
けれども友達の劇団の役者たちはそのチラシを回し読み始めた。
いつものことで慣れてるようだ。
北野は戸惑ってしまう。
不意に友達が壁を指差す。
壁の掲示板にも台詞がメモられている。
北野の台詞のようだ。
慌てて棒読みする。
そんな風に本読みは続いていく。
友達が急に立ち上がる。
友達はキッチンの隅から大量の段ボール紙を持って来た。
そしてそれを部屋のあっちこちに並べ始める。
段ボールにも油性マジックで台詞が書かれている。
“もしや?!”
今度は友達が指差す段ボールの台詞を役者たちは移動にしながら読み始めた。
“ああ、やっぱり”
「ねえ、この劇団の本読みっていつもこんな感じなの?」
そばにいた女優にそっと北野は耳打ちする。
女優はキョトンとして答える。
「何言ってるんですか。本読みって普通こうじゃないですか」
“そうなんだ”
並べられた段ボールはいつしか友達の家を飛び出していった。
役者たちはその段ボールを追い掛けていく。
そして気が付くと僕らは海に辿り着いた。
友達は相変わらずあっちこちに段ボールを並べ指差しを続けている。
さっきの女優が言う。
「台本がどういう順番になっているかは演出家の彼にしか分からないんです。うちの演出家って凄すぎるって思いませんか?」
“書いた本人にしか台本の順番が分からないのって当たり前じゃん。
馬鹿じゃないの、この女優!”と思う。
けれども、「ホント凄いよね!」と相槌を打ってしまう。
夢の中でも北野はヘタレだった。
そんな自分に夢の中でガッカリする。
ふと気付くと本読みはカルタに代わっていた。
友達が台詞を読む。
台詞の書かれた段ボールを役者が拾い上げる。
拾い上げた段ボールの台詞が役者の台詞になるというルールなんだそうだ。
演出家の声と波の音が辺りに響いた。
“カルタで役者の台詞の数が決まるなんて面白いルールだな。
夢のくせに”
目覚めたあとで夢のルールに感心した。

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