建築士の事情を書く前にgaraikaさんにT.B
今話題の建築基準法について
基準を満たした強度とはどんなものなのだろう?
報道のみではかなり誤解を招くおそれがあるような気がします。
そこで、建築基準法と言うものを理解する事がまず必要なのですが、難しい勉強めいたことは必要ではなく、法律の目的(第1条)を読めば自ずと理解出来ると思います。
建築基準法
(目的)第1条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
つまり、これを満たした建物は建物として最低の基準を得るということになる。
この建築基準法通りの強度を「1」とすると、俗に言うビルというもの、ランドマークと為りうる著名な建造物、公共的な建物など、殆どの建物においては「1」に対して数倍の数字となるような強度設計を行う。これがすなわち、丈夫であり長持ちする秘訣となる。
「1」で済ましてしまうことは逆に言えばあり得ない。
その最低の「1」でさえ割り込んでしまう今回のマンションの強度がどれだけのものなのか、少し見方が変わるのではないかと思います。
強度を高める・・つまり丈夫で長持ちする建物にするには、必ず建築費に直結します。
これは家にも言えることで、壁倍率5倍の壁を使えば、5倍の強度の家が得られるのではなくて、建築基準法に定める基準より5倍の壁量を備えることがそれを満たす訳です。
逆を言えば、壁倍率5倍の壁を使っても壁量を1/5にしてしまえば、元の「1」の強度となってしまいます。
その辺はビルダーの宣伝文では故意に誤解を生むような伝達の仕方をしているような気がしますね・・
garaikaさんの表現をお借りすれば「経済設計」、俗に言えばローコストと言うのかもしれないが、構造的にすれすれなレベルで経済的に設計された建築物には、「丈夫で長持ち」でない可能性も含んでいることを忘れてはいけないのだと思います。

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