日本人は几帳面な人が多いせいか、ロッドやリールを揃える時に一つのブランドで統一したがる傾向があるようです。しかし、それらの「道具」をたった一つのブランドで揃えるのには、無理があります。「道具選び」はその利点と欠点を良く理解した上で、自分の使用目的に合ったモノを、ブランドや値段にこだわらずに自由に選ぶべきだと思います。
私は幸運にも22年前にテキサスで、全米トップ・クラスのバスプロ:ゲーリー・クレインと一緒にバス釣りをする機会を得ました。当時、彼は「ヤング・ライオン」と呼ばれ、「リック・クランの後継者はゲーリー・クレインだ。」と言われていました。そんな訳で、彼はボート、エンジン、リール、ライン、ガソリン等沢山のスポンサーを持っていました。しかし、ゲーリーには、ロッドのスポンサーはありませんでした。(*現在はクゥワンタムのロッドを使っている)理由を聞いてみると、「ロッドだけは、自分の好きな物を使いたいんだ。」との答えでした。
実際に彼が使っていたロッドは:
@〈フェンウィック〉6ft.グラス・キャスティング・ロッド(M) トップウォーター・プラグ用
A〈ダイワ〉7ft.グラス・キャスティング・ロッド(M) クランクベイト用
B〈バークレー〉7ft.グラファイト・キャステイング・ロッド(H) ラバー・ジグ用
C〈オール・スター〉5ft.8in.グラファイト・スピニング・ロッド(ML) シェイキング用
D〈ルー〉5ft.6in.グラファイト・スピニング・ロッド(ML) ウェスティー・ワーム用
注:( )内はロッドのパワー
でした。値段は$30〜$80で(当時$1=¥140位だった)、とてもトップ・クラスのバスプロが「自由選択」で使っているロッドとは思えない安価な物ばかりなのでビックリしました。しかし、考えてみれば魚は本人の「腕=技術」で釣るのであって、高価な道具を使えば沢山釣れるわけではありません。この事は、高価な釣具ばかり使っている日本の釣り人は反省し、見習うべきだと思います。
先日、テレビで某大手冷凍食品会社が「べにずわいがに」で作ったコロッケを「ずわいがにコロッケ」と表示して売っていた「偽装事件」のニュースを見ました。「べにずわいがに」の値段は「ずわいがに」の1/8なので、「ずわいがにコロッケ」というのは「不当表示」になります。この事件を見て、よく似た「偽装事件」を思い出しました。
10年位前に来店した、ある釣具会社の営業マンA氏から聞いた話です。
A氏:今、流行っているバス・ロッドの中にTGというシリーズがあるでしょ。あれはチタン・フレーム&ゴールド・サーメット・ガイド付という意味なんだけど、本当はチタンではなくステンレス・フレームなの知ってた?
私:その竿は見たことがないので、知りませんでした。でも、どうして、チタン・フレームではないと判ったのですか?
A氏:本物のチタン・フレームは@表面にツヤのあるグレーでAステンレスより軟らかいので、指で強く押すと曲がるんですよ。TGシリーズのガイド・フレームは「細かいツヤ消し」のグレーで、指で押しても曲がらない。これは、ステンレス・フレームの上に「チタン・フレームとよく似た色」か塗ってある証拠ですよ。
私:それでは「詐欺」じゃありませんか?
A氏:そうですよ。業界では有名な話です。
私は確認の為、そのロッドを下請け生産していた会社の営業マンのKさんに、その件について聞いたところ「ええ、そのとうりです。」とあっさり認めました。
後で知ったのですが、TGというロッドは、そのノーマル・モデル(ステンレス・フレーム&SICガイド付)よりも1万円も高く売っていたそうです。
(*ゴールド・サーメット・リングにしても長年使うと金色のメッキがはげてきて「カッコ悪い」というので使われなくなりました。つまり、安いSICリングの方が実質的に優れていたのです。)
この様な「高級ブランド」による「品質偽装」に騙されないように注意しましょう。

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