2010/7/18

手紙が入った酒瓶  

「この手紙を見つけた方、お願いします。助けてください」

「私は船の航海中に沈没して無人島に流れ着きました」

「潮の流れだとそんなに遠くはないと思います」

「もし外国でしたらここへ電話をしてください」

「きっと家族に繋がるはずです。そして伝えてください」

「私は無事ですと・・・」

この手紙を拾った私はこの人を不憫に思えた。

漂流したことではなく

この人がいる無人島のすぐ隣にある無人島に私と同じ漂流者がいて私に届いたことが・・・


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2010/7/18

汚れた一万円札  短編「魂物」

空から一万円が降ってくる。

ありえない。

そんなことは絶対に起きない。

俺もそう思ってた。

だが起きてしまった。

ふと空を見上げるとひらひらと木の葉のように一万円札が落ちてきたのだ。

そして俺の目の前に落ちた。

少し汚れてるが正真正銘お金だ。

もしそんなことが起きたらあなたはどうする?

交番へ届ける?

持ち主がわからないだろう。

名前なんて普通書かないし

「この一万円誰のですか〜?」と叫んでも違うやつが現れて持っていくかに決まっている。

とすると使うしかない。

何に使うか。

趣味?

生活費?

一万円で買えるものは限られてるがそれでも良いものが買える。

しばらく俺は考えたけどやめた。

だって俺にはその一万円を拾うことができないのだから。

死んでしまっている俺には・・・
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2010/7/18

博士の愛読本  短編「魂物」

「かせ・・!はかせ!博士!」
眼鏡をかけた白衣の女性が本をアイマスク代わりにして
椅子に寄りかかってる私を大声で呼んでいる。

「あぁ君か・・・おはよう」
顔の上に乗ってる本をバサと落とし気持ちいい笑顔で答える。

「おはよう!ではありませんよ。もうお昼です」
「仕事してください。仕事!」

「ははは、わかってるよ。それに僕がいなくてもプロジェクトは順調なのだろう?」
「他の人たちに任せればいいじゃないか」

「何を言ってるんですか。博士はその学者たちの中でも最高峰の学者じゃないですか」
デスクに座り書類を置き再び博士のほうへ向き怒り口調で言った。

白衣を着た女性はさっき博士がアイマスク代わりにしてた本を拾い上げる。
表紙とタイトルを見るや否や溜息をつき博士に渡した。

「また、これを読んでるんですか?」
「天才である博士には必要ないと思いますけど」

「いやいや、これがまた為になる本だよ」
「それに私は天才ではないよ。他の人がなんと言おうとね」

本当にそう思ってるの?っと言いたげな顔で博士を見ていた。

「それはそうと博士。例のプロジェクトの段取りですけど次でラストテストだそうです」
「これを成功すれば明日から実行となるそうです」

「本当かい?遂にか・・・長かったがようやくか・・・」
「君はこのプロジェクトが終わったらどこへ行くんだい?」

「まだしばらくここに残りますよ。もし何か起きたときのためにですけどね」

「お、じゃぁ僕もここに残ろうかな」
「君一人だけにはさせたくないしね」

ご自由にっと冷たくあしらわれ博士は肩を落とす。

突然緊急サイレンが研究所内に響く。

「た、大変です博士。例のサンプルが脱出を・・・!」

「何だって・・!?早く捕まえるんだ!」
その騒ぎでふと落ちた博士の愛読本「恋愛の仕方」を残し二人は部屋を出たのだった。
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2010/7/18

名無しの航海日誌  短編「魂物」

西暦1912年4月10日

世界最大の豪華客船の乗船パスを入手した。
貧民である私がパスを入手できたのも
カードで一発逆転の一札が決め手となったからだ。

サウサプトン港から出航したこの船は処女航海としてアメリカ合衆国へと渡ることになった。
天候は爽快、波も高くなく風は西から東へと吹いている。

全長269m、全幅28m、総重量約46t
流石は世界最大と呼ばれる船だ。
それよりも更にすごいのは乗客数約2500名
貴族から貧民までチケットを入手出来れば一生に忘れられない思い出が出来るだろう。

北大西洋を横断し遥か東の大陸へと渡る。
さらばイギリスよ。
私は心の中で敬意を表し別れを告げた。
そして航海中何も起きないことを祈ろう。



西暦1912年4月14日

突然の振動により目を覚ました。
何が起きたのかと思い外へ出ると多くの船員たちが汗をかきながら左右を移動していた。
原因を聞くと船が氷山に衝突。
すれすれで回避したが船底第5ブロックまで浸水。
私はこのままだと沈没すると推論に至った。

ボートの数も少なく全員が助かる見込みもない
船員たちはパニックになってる客を鍵で閉じ込め船の外へ出そうとしなかった。
暴動が起きついに鍵を壊し外へと流れ込んだが
貴族たちによりボートはあと2,3隻しか残っていなかった。
乗れても100人がやっとだ。

もはや諦め絶望する者もいればボートに無理やり乗ろうとする者もいた。
私はおそらく、この船と共にすることになるだろう。
今思えばカードで買ったのは一生で一度の幸運だったかもしれない。
せめてニューヨークの女神を見たかったものだ。
さらば豪華客船タイタニックよ。
我が魂はタイタニックと共に・・・
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2010/7/18

修学旅行の集合写真  短編「魂物」

一生に2、3度しかない学生修学旅行。

友と笑い、時を共に過ごし布団を並べあい夜を過ごす。

修学旅行といえばどこを思い浮かぶだろうか?

京都?

それとも沖縄?

2、3日しかない修学旅行はとても短く早いかもしれない。

もっともっと色々なものを見たいし触れてみたい。

写真もいっぱい撮っておみやげを家族のためにたくさん買って。

だから悔いのない修学旅行計画を立てよう。

昼はどこへいこうか。

夜は枕投げだろうか。

最後の日は全員の集合写真で終わる。

数十年後、アルバムを見ると楽しそうに笑う君がいるよ。


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