road to truth

ひとりの人間の「真実の生き方」への模索の記録

 
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「東京家族」

山田洋次監督の映画「東京家族」を観た。

一番早く入場して座席に座っていると、
老夫婦がやってきて「座席はここか?」
「いやこっちだぞ」と大声でやりとりしている。
どうやら暗くてわからないようだ。
昔の映画館なら案内人のような人がいたと思ったのだが・・
シネコンは老人に冷たいようだ。
これは、近くに行って助けてあげなくっちゃ・・と思って立ち上がると、
すでに中年の女性がお二人のサポートをしていた。
さすが山田映画を見にきている人だけあると、ひとりごちた。
(ちなみに、その時映画館内にいたのはその中年女性のカップルと自分だけだった)
そして後から知るのだが、その年老いたご夫婦は半世紀前に「東京物語」を見ており、
あの感動をもう一度との思いから、シネコンに初めて足を運ばれたのだった。
このようなご老人の方々を映画館に集客できる監督を山田監督以外に僕はしらない。

さて映画は、とある家族の日常を淡々と描く事から始まる。
日常的でない事といえば、田舎から親が上京してきたことくらいのことで、
映画としては、とても静かな描写が積み重ねられる。
そのあたりが小津安二郎的なものを意識したところなのだろうか?

ところがこれが、ボディブローのようにきいてくるというか、
中盤のある場面からは、ずっと涙がながれてとまらなくなってしまった。
作家の石田ゆり子さんもこう言っている。

「何気ない日常シーンなのに涙があふれてくるのです。
 なんて優しい美しい映画でしょうか。」

涙が止まらない。悲しいからなのではない。
そこに登場するひとの、人としての美しさとやさしさに泣けてくる。

ラストシーンにもういちど涙がどーっとあふれる。
エンディングをむかえる。そーっと席をたつ。
感情も少し落ち着いている。
ホールを出て、出口までの暗い廊下を歩く。
そこで、またなぜだか大泣きしていた。歩きながら顔をくしゃくしゃにして泣いていた。
なぜなのか?自分でも未だによくわからない。
何かこれが自分の本当の思いなんだというものを探り当てられたような感覚。
日常は押さえ込んで平気な顔をしているが、
そこに触れられると堰をきって次から次からあふれ出してくる自分の感情に気づく。

「魂の浄化」と表現できるのだろうか。
面白い映画はごまんとある。
いい映画も、感動できる映画もある。
だが、魂を浄化してくれる映画に出会えることは滅多にない。
山田監督を初め、制作スタッフ・出演者等々、
この映画を僕の心に届けて下さったみなさんに、心からの感謝をしたい。

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投稿者:eudaimonia
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