僕には
弟がいる。
家族と一緒、同じところに住んでいる。
彼には自分の部屋というものがあるが、戸を閉めて隣接する居間と隔絶するというようなことはしない。
夏でも冬でも、戸は開いている。だからいつでも部屋は丸見えだし、
彼の体が全く見えないということもほとんどない。
その部屋で
彼がしていることのバリエーションは極めて少ない。
@「なんじゃそら」と言いたくなるような大きな紙を広げて絵を描いている。
A布団を敷いて、あるいは敷かないで寝ている。
Bパソコンで何やらやっている。
他には「PS2でゲームをやっている」というのがあったが、PS2はつい先日売り払ってしまったらしい。
で、昨晩、精確には今日未明の話。
部屋にこもっていた僕は、居間に出て、自室のパソコン前にいる
彼にちょっとした質問をしてみた。
返事がない。
よくあることだ。耳にはイヤホン、こちらの声は聞こえていない。耳に突っ込む「カナル型」ではないので、僕の感覚だと絶対聞こえるはずなのだが、恐らく大音量なのだろう。
兄弟とはいえ、感覚は大きく異なったりするものなのだ。
彼にはおかしな習慣がいくつもあるが、それは
彼にとってはごく当たり前のこと(参照:
こことか
こことか
こことか)。
しかし、もう深夜なので、母と妹は寝ている。相変わらず大音量(予想)な
彼には少々頭に来るが、大声を出すべき場面ではない。
しかし、
彼の部屋にずかずかと入っていくのも、これまた少々気が引ける。
そこで、大きな身振りと小さな掛け声「おーい」の両方を用いて
彼にアピールしてみた。
しかし、返事はない。
大きな家ではないし、横目でも物が動けば目立つような時間帯である。
誰もいないのに思わず「ええ〜っ」と言ってしまったが、
彼にとっては気づかないことなど造作もないのだ。
次はどんな手を使って気づかせようかと思案しかけたが、そんなに骨を折るほどの用事でもなかったので、部屋に戻った。
集中したいとき、僕は部屋の戸を閉める。
彼は戸を閉めない。なぜなら、もっと便利な戸を持っているからだ。

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