前回はアバターのお話をするつもりがグラサンの話ばかりで失礼いたしました。
今回はグラタンとかフルチンの話に脱線しないように気をつけます。
で、「アバター」なのですが、もはや世界でいちばん成功した映画でしょうし、昨年の秋から今年の初めまで映画のお話をすれば「アバター観た?」って感じでした。
しかし私は「トランスフォーマー・リベンジ」とか「2012」といった、CGの見せ場ばかりがてんこ盛り、大味で冗長な作品に胃がもたれぎみで「もう食べられないよお」って時期だったので、なかなか足が向かなかったんですよね。
耳に入ってくる評判では「どうもダメらしい」という声もあったのですが、否定的な意見の方々は実は観ていないケースが多く、実際観て来た方々は「すごいよ、なんか」と鼻息も荒々しくすっかり興奮のご様子。
「こいつは実際に観てみないと分からないナニかがあるぞ!」と、重い腰をあげたのは公開二か月半を過ぎた三月に入ったころでした。
で、受付のお姉さんに「アバター観ます!飛び出す日本語のやつ観ます!」と宣言、彼女に
「ははあ〜ん、今さら〜ん、ださいわ〜ん」と鼻で笑われるのを覚悟し、かつ冷遇に身悶えするのもまたよし!と楽しみに待っておりましたが、なんと「見やすいお席はなくなりました」とクールな対応。
さすが興行収入世界一の映画だなあ、と思いつつ、見やすくないお席でグラサンをかける次第となりました。
で、上映開始!そして終了!
私の感想は
「すっげえ、おもしろおおおお〜い!」です。
三時間近い長尺も、次から次へと出てくる強烈なイメージと、共感しやすいソツのない脚本、そして立体映像と音響のすさまじい臨場感で、だれることなく一気に観ることができました。
ジェームズの「どうだ、すごいだろ!なあ、おもしろいだろ!」という力技の連続、扇みたいに開いた札束でスパンスパン叩かれまくったような恍惚を味わい、鑑賞後は椅子にぐったりでありました。
まあ
それだけの映画という感じです。
たぶん、それでいいのでしょう。おそらくそれ以外の部分で批評の対象とはならないでしょうしね。
「自然との共生」とか「開拓のための先住民虐殺」など現実的な問題を含んだ内容であるにも関わらず、
●人間=搾取するもの=悪
●先住民=共生するもの=善
と、思いっきり単純化して対峙させ、しかも安直な決着でハッピーエンドにしてしまったためにすべて台無しであります。
同じテーマを扱った「もののけ姫」などは、このへんの善悪の基準をあいまいにして決着をつけるのを放棄したぶん、とても誠実さを感じたんですけどね。
たぶん数カ月もしたら忘れてしまうような内容だと思うのですが、もともと映画の存在価値なんてそんなものかもしれません。
自分の世界に引きこもって何も語ってこない映画もありますが、こうして観客に「どうだ!どうだ!どうだ!」と語りかけてくるジェームズ(上半身裸、くわえ葉巻き)の映画職人魂には、見習うべきところもあるような気がします。
目玉の快楽としては本当によくできた映画で、私も観ている間はすっかり興奮して楽しんでました。
しかしこういう楽しくて心に傷を残さないものが世界でいちばん支持される作品ということに、どこかシャクゼンとしない私ではあります…
まあこのヘンのことはいずれまた!

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