jetsamを辞書で引くと難船の船体軽減のための投げ荷とある。詳しくは判らないが、嵐にあって漂流・難破している船が生き延びるために、よけいな荷物を海に投げ捨てて、船体を軽くして助かろうとする行為のことだろうか。
遠い昔、私の父達が乗った帆船も漂流・難破した時、そのような行動を取ったのだろうか。聞いた話では、ニ本のマストは折れ、伝馬船は流され、操舵室は強風の為に吹き飛んだという。そのように投げ捨てられた、或いは落下した漂流物をjetsamと言うのだろうか。
どこから来て何所へ流れていくのか判らない猫の物語を象徴した名前であることに読み終わって気づいた。最初から最後まで物語の行くすえを暗示する意味深な言葉である。
エラさんの作品はThe Color of the Morning やSkyline にしても短編ではあるが、実によく吟味された食材を最高の職人によって作られた、色や味や匂いの見事なバランスの会席料理のように隙のない、緩みのない、大すぎるわけでもなく、また不足してもいないという見事な作品である。私は日本では動物た植物を擬人化して慈しむといつか書いたが、この短編を読むと、作者はある意味でJetsamを人格があるような、同じ生きているものとしての慈しみと尊厳の目で見ていることが感じられた。それは猫かわいがりといった人間側の満足ではなく、猫の本姓を尊重した接し方をしているということであろう。
最後に三つの作品とも、事象に対して決して作者の意図や思い入れを書き込まないことが、かえって深みと謎めいた感じを読者に与えるのだろう。
さて、本日私は目の再生工場から無事帰還しました。全盲の同室の人との交流・手術の一部始終のことについて、たくさん観察してきました。
そして結果は、今までいかにモノトーンの世界をすごしていたかが判りました。この世の中はこんなに白・黒のはっきりした形と艶やかな色彩に満ちていたのかと驚きました。今までは自分の見ていた世界がそんなに灰色で歪んでいたのかと思いました。間違った視野で何でも見ていたのかと疑い、本当はもっと単純明快な世界ではなかったのかと思っています。
それから、エラさんのJetsam and the Beesの田村さんの翻訳をエラさんの作品の後に掲載しましたので、参考にしてください。

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