『レベル・サーティーン』
13 Game Sayong
2006年タイ映画 114分
脚本・監督:マシュー・チューキアット・サックヴィーラクル
原作・脚本:エカシット・タイラット 音楽:キティ・クレマニー
出演:クリッサダ・スコソル・クラップ[クリッサダ・テレンス](プチット・プルナートン)、アチタ・シカマナ(トン)、サルンヨー・ウォングックラチャン(スラチャイ警部)、ナターポン・アルンネトラ(メウ)、フィリップ・ウィルソン(プチットの父ジョン・アダムズ)、スクルヤ・コンカーウォン(プチットの母)
バンコクの楽器会社に勤めるプチットは教師をしている友人を頼って高校に楽器を売りにいくが、すでに同僚に先を越されていた。翌朝、ローンを滞納したために車を持っていかれたプチットはバスで出勤し、同僚のトンに会う。プチットはトンの作ったCDを褒めるが、彼女はもはや歌手になる夢に見切りをつけていた。請求書の束に頭を抱えるプチットは上司ソンブンに呼ばれ、突然解雇を通告される。更に追い討ちをかけるように母親からは弟の学費のために仕送りを頼まれる。プチットが非常階段に座って煙草を吸おうとしていると突然携帯電話が鳴り、ゲームの参加者に選ばれたことを告げられる。誰かのいたずらだと思い込むプチットだったが、床に落ちている新聞で蝿を殺せば1万バーツが口座に振り込まれると聞いて挑戦してみる。蝿をしとめると、携帯電話には振込が完了したという通知メールが送られてくる。電話の主は更にその蝿を食べれば5万バーツもらえると言う。迷いながらも口に放り込むプチット。再び電話がかかってきて、更に11のゲームをクリアできれば最高賞金1億バーツがもらえると言う。プチットは仕事を奪った同僚を殴りつけると、会社を後にする。次の指令は保育園に行き、3人以上の子供を泣かせること。ふとした弾みでおもちゃを踏んづけてしまったプチットは子供を泣かせることに成功するが、アメリカ人の父親に虐待された幼少時代の記憶が蘇えってくる。保母に追いかけられたプチットはホームレスから小銭を奪い、中華料理屋へ。そこで出されたのは犬の糞。またしても幼少期の記憶に苛まれながらも必死で飲み込むプチット。携帯電話のバッテリー交換のため、バス停にいる狂人からのお告げを聞くことに。たまたま中華料理屋でプチットを見かけたトンが追いかけてくるが、彼は6番のバスに乗り込む。13時13分になった瞬間、後部座席から着信音が聞えてくる。電話に出ようとした男たちと争ううち、携帯電話を外に放り出した男にプチットは激怒。男を外へ叩き出して打ちのめす。気を失った男の持っていた携帯電話からは3つ先のバス停に行くように指示がある。その頃、警察も動き出し、スラチャイ警部が捜査の指揮をとることになる。会社に戻ったトンはインターネットでプチットが起こした事件を調べているうちに“13”にまつわる会員制秘密サイトにたどり着く。何とかハッキングに成功したトンは、そこで別人と化したプチットの姿を見る。古い家屋にたどりついたプチットは、家の中にある井戸に落ちた老人を10分以内に助け出すように指令される。老人はすでに亡くなっていたが、プチットは老人を背負って井戸を昇り、電話で老人の家族を呼び出す。警察が来る前に家を出たプチットは元彼女で歌手のメウに出くわす。彼は指示されるままにDV男のメウの彼氏を椅子で叩きのめす。タクシーを強奪し、意識不明の彼氏を病院に連れて行くと、そこにスラチャイ警部らが乗り込んでくる。携帯電話からのヒントを手がかりに805号室にたどりついたプチットはそこにいた老婆を病院から連れ出し、タクシーを走らせる。老婆に言われるままに洗濯を手伝ってワイヤーを張っていると、暴走族の集団がやってきて首や頭を切断されてあたり一面は血の海と化す。すると、トンが車でプチットのもとに駆けつけたため、人に知られてはいけないという規則違反で失格を告げられる。だが、続きを望む視聴者が多いため、遺体の中にある日本刀でトンの愛犬かトン自身を殺せば次のステージにいけることに。プチットは犬を斬り殺し、タクシーに乗ってその場を立ち去る。農場で牛を殺し、その生肉を食すという指示をこなしたプチットは遂に最後のゲームに挑む。
レイトショーで1週間のみの公開だったが、予告篇を見て面白そうだったので鑑賞。
その直感は見事に当たり。
原作はタイの人気コミック。『マッハ!』、『トム・ヤム・クン!』などのサムソック・デーチャラタナプラスートさんが製作総指揮を務め、監督はなんと26歳という若さ。
ハリウッドでのリメイクも決まっているそうな。
主演のクリッサダ・スコソル・クラップさんは役柄と同じくアメリカ人とタイ人のハーフ。
不器用を絵に描いたような感じで、とことんまで追い詰められてゲームに巻き込まれていく主人公にぴったり。
その風貌や境遇が
『フォーリング・ダウン』
のマイケル・ダグラスさんを想起させる。
ふとパンフレットを見て吃驚したのだが、彼って怪作
『アイアン・プッシーの大冒険』でターンを演じていたクリッサダ・テレンスさんだったのか! 名前も違うし風貌も別人のようなのでまるで気づかなかった。
13の課題も面白く、ぐいぐい引き込まれる。
まずは蝿を新聞で叩き落すという簡単な課題。つぶされた蝿がこびりついた新聞にタクシン元首相の顔写真があったのが笑えた(笑ってたのは私だけだったが…)。
その後、2つめ、3つめと続くが、4つめを見せずに被害者が警察に訴えにくるという形でどんな課題だったかを分からせるあたりが巧い。12番目の課題も同様にあえてそのシーンは映さないながらも、最後の部屋で今までの課題がスクリーンに映される際にはちゃんと用意してある点がきめ細かい。
そして5つめの課題。筒井ファンなら「最高級有機質肥料」を思い出すところ。
湯気が出ていればなおよかったのだけど(爆)。
その他にもワイヤーで頭を切断された暴走族の若者が起き上がろうとするところなどグロいところもあるにはあるが、それがより一層このゲームに引き込まれる要因ともなっている。
最後に黒幕キーの真っ白な部屋のスクリーンにプチットのゲームを視聴する人々の映像が映し出されるが、結局我々観客も彼らと変わりはないことに気づかされる。
他人の不幸は蜜の味とはよく言ったものだ。
惜しむらくはその黒幕の正体だが、まぁドラマ『QUIZ』のような後味の悪さはなかったからよしとしよう。
★★★1/2

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