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2010/11/25

『ザカリーに捧ぐ』  映画道

『ザカリーに捧ぐ』
Dear Zachary, a letter to a son about his father


2008年アメリカ映画 95分
脚本・監督・音楽・撮影・録音・編集・製作:カート・クエンネ
出演:カート・クエンネ、デイヴィッド・バグビー、キャスリーン(ケイト)・バグビー、アンドルー・バグビー[資料映像]、シャーリー・ターナー[資料映像]、ザカリー・アンドルー・バグビー[資料映像]、ヘザー・アーノルド(元婚約者)、ジョン・バーナード(従兄弟)、ポール・バーナード(ジョンの兄)、ルース・バーナード(伯父)、リンダ・バーナード(伯母)、パット・バグビー(伯父)、リンダ・バグビー(伯母)、ジム・バグビー(従兄弟)、ボブ・バグビー[写真](伯父)、アーリーン・バグビー(ボブの妻)、ロンダ・ライデンハウア(ボブの娘)、マック・ヤンケ(友人)、スザンヌ・パトナム医師(同僚)、クリス・ケーラー(友人)、マット・オーティンガー(同)、ミシェル・プアラン(同)、ジョン・アトキンソン(同)、オリヴィエ・ガルガーニ(同)、ピート・マクナブ(同)、ヒマーンシュ(大学の友人)、ジェームズ(同)、クリスティアン・ヴァレー(同)、アンソニー・モンテヴェルディ医師(同級生)、デイヴィッド・ビリングズ(同)、ローリー・ビリングズ(同)、ジェイソン・ボールドウィン歯科医(高校の友人)、ロビン・ベイツ(友人)、ケン・エックハート医師(同級生)、シェリ=リン・タッカー医師(同)、カール・フィッシャー(友人)、マーシー・フィッシャー(同)、クラーク・シンプソン医師(同僚)、ビル・ディクッチョ医師(同)、ジョン・バートリーノ医師(研修医コーディネーター)、ジェニファー・ショーリス医師(同僚)、グレッグ・リトル医師(同)、メアリー・ドレイ(メモリアル大学学生課)、アンドルー・ロシター(同級生)、レスリー・トーマス医師(同僚)、ジャクリーン・ブラジル(弁護士)、クリス・スノー(聖ミカエル教会牧師)、イアン・バウマー(メモリアル大学医学部長)、ヴェラ・グリフィン(学生課)、スコット・マクレラン医師(教授)、トニー・ロック医師(同級生)、ジェニファー・ロンバード医師(同)、マーク・ロンバード医師(同)、ヘレン・ブルームフィールド(名付け親)、スー・シェラガー(友人)、ボブ・シェラガー(友人)、ジャン・ミルズ(同)、ダネット・ドゥーリー(同)、リック・シングルトン医師(グリーフカウンセラー)、キャロル・ステイン(友人)、ジョン・ドゥーセ[資料映像](シャーリーの精神科医)、エリザベス・“ベティ”・デイ[資料映像](児童福祉局)、ゲール・ウェルシュ[資料映像](判事)、ジェラルド・スミス[資料映像](州保健大臣)、ダーレン・ネルヴィル[資料映像](児童擁護者)、TJ・シェアーズ[資料映像](シャーリーの息子)


  


2001年11月6日、ペンシルヴェニア州ラトローブで28歳の外科医アンドルー・バグビーの射殺遺体が発見された。容疑者はアイオワに住む40歳の医師シャーリー・ターナー。2人はカナダのニューファウンドランドにある医大で知り合い、婚約者と別れたばかりだったアンドルーは周囲の心配をよそにシャーリーと付き合っていたが、別れを切り出されたシャーリーが凶行に及んだものと推測された。カナダに帰国したシャーリーは12月12日に逮捕されるが、釈放される。更に翌年2月7日、記者会見を開いたシャーリーはアンドルーの子供を妊娠していると発表。アンドルーの両親は親権を獲得するためにニューファウンドランドに移住する。7月18日、シャーリーが息子のザカリーを出産。11月4日、シャーリーが矯正センターに収監されたことから、バグビー夫妻がザカリーの面倒を見ることになるが、2ヶ月後にシャーリーが再び釈放。保釈申請の手伝いをしたのはウェルシュ判事だった。孫に会うためにシャーリーの出す条件を飲まざるを得ないバグビー夫妻。そして2003年8月18日、シャーリーとザカリーが行方不明になったというニュースが流れる。

「松嶋×町山 未公開映画祭」配信作品。



事の発端は28歳の医師アンドルー・バグビーの射殺事件。容疑者は彼と交際していた40歳の医師シャーリー・ターナー。2回の離婚暦があり、3人の子供がいる彼女との交際は、アンドルーの友人たちも眉を顰めるものだったが、婚約者と別れたばかりだった彼はそこをつけこまれたようだ。
アンドルーはいかにも愛嬌のある風貌で、誰からも好かれていた人物。誰もが口を揃えて結婚式の介添人を頼みたかったと言う。そんな彼と幼馴染でともに8mmフィルムを撮影していたクエンネ監督は、イギリスに住む母方の親族や高校・大学の友人、同僚らに話を聞いて回る。
そんな中、シャーリーがアンドルーの子供を妊娠していると判明。やがてザカリーと名付けられた遺児に君の父親がいかに素晴らしい人物であったかを伝えるため、監督は撮影を続行していく。

元々プライベートフィルムだったものが、劇場公開されるに至ったのは最悪の事態を迎えてしまったため。
殺人者を野に放ってしまったカナダ当局のやり方には疑問を通り越して怒りすら感じるが、アンドルーの両親であるバグビー夫妻の強さには心底、敬服する。
息子が殺された後、一度は死ぬことを考えながらも思いとどまり、孫ができれば親権を獲得するためにニューファウンドランドに移住して裁判を起こし、孫に面会するために息子を殺した女の機嫌を取らなくてはならない。夫妻の心中たるや察するに余りある。

更なる絶望が夫妻を襲った後、それを乗り越えるほどの感動がやってくる。
どんなに理不尽な目に遭って打ちのめされても、信念を持って行動する人間のたくましさ、そしてそれを支える周りの人たちの繋がり。
友人や知人に対して、「会えてよかった」とか「友人でいてくれて感謝する」といった言葉が素直に出てくるあたりはアメリカ人の美徳の一つだと思う。監督の編集も見事。

監督はカナダの政治家らにこの映画を見せ、少しずつ法律が改正されてきているとのこと。まさにバグビー夫妻の信念がもたらした成果であり、今後、2度とこのような悲劇が繰り返されないことを祈るばかりである。

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テーマ: 映画鑑賞



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