『奇跡のシンフォニー』
AUGUST RUSH
2007年アメリカ映画 114分
監督:カーステン・シェリダン
原案・脚本:ニック・キャッスル
原案:ポール・カストロ 脚本:ジェームズ・V・ハート
撮影:ジョン・マシソン 編集:ウィリアム・スタインカンプ
音楽・テーマ音楽作曲:マーク・マンシーナ テーマ音楽作曲:ハンス・ジマー
出演:フレディ・ハイモア(エヴァン・テイラー/オーガスト・ラッシュ)、ケリー・ラッセル(ライラ・ノヴァチェク)、ジョナサン・リース・マイヤーズ(ルイス・コネリー)、テレンス・ハワード(リチャード・ジェフリーズ)、ロビン・ウィリアムズ(マックスウェル・“ウィザード”・ウォラス)、ウィリアム・サドラー(ライラの父トマス・ノヴァチェク)、レオン・トマス三世(アーサーX)、マリアン・セルデス(校長)、ミケルティ・ウィリアムソン(ジェームズ牧師)、ジャマイア・シモーヌ・ナッシュ(ホープ)、アーロン・ステイトン(バンド仲間ニック)、アレックス・オロックリン(ルイスの兄マーシャル)、ロナルド・ガットマン(教授)、ボニー・マッキー(ライラの友人リジー)、ベッキー・ニュートン(ルイスの恋人ジェニファー)、ミーガン・ギャラガー(ライラの生徒ミーガン)
エヴァン・テイラーは、ニューヨーク州ウォルデンの男子養護施設で育った11歳の少年。風の音からベッドがきしむ音まで、あらゆる音がメロディとして感じられるほど鋭い音感を備えた彼は、音楽を通じて、顔も名前も知らない両親と自分が結ばれていると固く信じている。そのせいで、施設の仲間に変人と呼ばれ、いじめにあうエヴァン。そんな彼の面接を受け持った児童福祉局の職員リチャードは、施設を出て養子になることをエヴァンにすすめるが、心の音で響きあっている家族が必ず迎えに来ると信じているエヴァンは、「ここを離れたくない。だって生まれて最初に来たこの場所から離れたら、パパとママが僕を探し出せなくなるから」と、涙を流すのだった。エヴァンの直感は正しかった。彼の音楽の才能は、それぞれクラシックとロックの分野で成功をおさめた両親から譲り受けたものだった。それは、11年前の満月の夜。コンサートでニューヨークへやって来た新進チェリストのライラと、サンフランシスコ出身のロック・ミュージシャン、ルイスは、ワシントン広場を見下ろすビルの屋上で、運命の出会いを果たした。輝く月の光とストリート・ミュージシャンが奏でる「ムーンダンス」の曲に彩られ、ロマンチックな一夜を過ごす2人。だが、ステージ・パパとして権力をふるうライラの父トマスの介入によって、2人は連絡先を伝えあうこともできず、仲を引き裂かれてしまう。まもなく妊娠に気づいたライラは、父の反対を押し切ってシングル・マザーになることを決意するが、臨月で交通事故にあった彼女を待ち受けていたのは、お腹の子が助からなかったという哀しい知らせだった。それ以来、コンサート活動を退き、故郷のシカゴで傷心を癒す日々を送るライラ。いっぽう、彼女を失ったことで音楽への情熱も失ってしまったルイスは、兄たちと組んでいたバンドを脱退し、サンフランシスコに戻って金融ビジネスの世界に身を投じた。ライラとの愛の結晶である子供が、この世に存在していることも知らず……。ある晩、電線を伝う不思議な音に導かれて夜中に施設を抜け出したエヴァンは、親切な果物屋のトラックに拾われて、マンハッタンにやって来た。地下鉄、クラクション、信号、スチームなど、生まれて初めて体験する大都会の音の洪水に包まれて、エヴァンは大興奮。いつのまにか迷子になってしまった彼は、街角でギターを奏でていた少年のアーサーに誘われるまま、ストリート・パフォーマーの子供たちが共同で生活する廃墟の劇場へ足を踏み入れる。そこでエヴァンが出会ったのは、子供たちから「ウィザード」と呼ばれている元締めの男だった。元ストリート・ミュージシャンの彼にギターの天才ぶりを見出され、街角に立つようになるエヴァン。自分の演奏をたくさんの人に聞いてもらうことが、両親探しの近道だと信じる彼は、「オーガスト・ラッシュ」という芸名をもらい、懸命に演奏した。しかし、その日々は長く続かなかった。エヴァンたちが寝泊まりする劇場に、児童福祉局の手入れが入ったのだ。大あわてで地下鉄に逃げこみ、夜の闇の中にさまよい出たエヴァンは、ゴスペルの歌声に誘われて教会の中へ。そこで出会った聖歌隊の少女ホープの指導で、たちどころに楽譜の読み方をマスターする。そんな彼が、モーツァルトに優るとも劣らない作曲の天才であることに気づいた教会の牧師は、エヴァンをジュリアード音楽院に推薦。入学を許されたエヴァンは、正式に音楽を学ぶことになった。そのころ、死の床にある父親から、自分の子供が生きていると知らされたライラは、その子の行方を追い求めてニューヨークへやって来た。児童福祉局のリチャードの助けで、探していた子がエヴァンであると知るライラ。行方不明のエヴァンと会える日を信じてニューヨークに留まろうと決断した彼女は、自分の音楽がエヴァンの耳に届くことを願って、ニューヨーク・フィルと共演するコンサートのオファーを引き受けた。いっぽう、ルイスの人生にも大きな変化が生じていた。自分がいまだにライラへの愛を断ち切れないでいることに気づいた彼は、その思いをラヴソングに託し、音楽の世界に復帰しようと決意。かつてのバンド仲間と共にニューヨークへやって来る。まだ見ぬ両親への思いを込めて、ジュリアードで「オーガストのラプソディー」を作曲するエヴァン。彼の11年間の人生が集約されたその曲は、奇しくもライラが出演するのと同じセントラル・パークの野外コンサートで演奏されることになった。だが、そのリハーサル中に思わぬ邪魔が入る。金蔓のエヴァンの居所をつきとめたウィザードだ。父親だと名乗るウィザードの手で、無理矢理ストリートに連れ戻されたエヴァンは、永遠に両親と再会する機会を失ってしまったかに見えたが……。ニューヨークの夜空に「オーガストのラプソディー」が鳴り響いたとき、思いがけない奇跡が起こる。【公式サイトより引用】
ベタな邦題でどうかなと思ったが、ジム・シェリダン監督の娘で『イン・アメリカ』の脚本も担当したカーステン・シェリダンさんが監督で、
『ウェイトレス』のケリー・ラッセルさんが出演とあってはやはり観なくては。
ストーリーはそれこそ奇跡のような偶然が重なる一種のファンタジー。
確かに都合よすぎる展開なのだが、それが傷とはなっていないのは、フレディ・ハイモアくんが主演であればこそ。彼が神童としてジュリアード音楽院に入学したり、最後の野外コンサートで自ら作曲した「オーガストのシンフォニー」を指揮したりしても妙に説得力がある。
エヴァンが音楽の才能に目覚めると同時に、ライラとルイスもそれぞれ再び音楽を始めるあたりも音楽の持つ力を感じさせる。
リハーサル会場から連れ戻されたエヴァンが公園でルイスと出会い、ギターを交換してセッションするシーンも出色。お互いに親子と知らないながらも、音楽を通じて心を通わせていく。ちなみにルイス役のジョナサン・リース・マイヤーズさんも親に捨てられ、孤児院で育ったんだとか。
カーステン・シェリダン監督は台詞がないシーンでの演出が光る。
エヴァンが初めてニューヨークに出てきて音の洪水に身を委ねるシーンや、アーサーについて廃墟の劇場に入っていくところや翌朝、外から聞こえてくる音に合わせてギターを弾くシーン。
あるいは、教え子のミーガンが迎えに来た母親と抱き合う様子を見ているライラや、新参者のエヴァンに演奏場所とギターを奪われたアーサーなど、表情だけでそれぞれの人物の内面を描き出している(そのアーサーが最後にエヴァンの手助けをするところがまたいい)。
最後のコンサートのシーンでライラとルイスが再会する際にも余分な台詞がない。
更にその後に来るであろう親子3人での再会シーンを一切入れないところもよかった。
★★★★