『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』
Away From Her
2006年カナダ映画 110分
脚本・監督:サラ・ポーリー 原作:アリス・マンロー「クマが山を越えてきた」
製作総指揮:アトム・エゴヤン、ダグ・マンコフ
撮影:リュック・モンテペリエ 音楽:ジョナサン・ゴールドスミス
出演:ジュリー・クリスティ(フィオーナ・アンダーソン)、ゴードン・ピンセント(グラント・アンダーソン)、オリンピア・デュカキス(マリアン)、マイケル・マーフィ(オーブリー)、クリステン・トムソン(看護婦クリスティ)、ウェンディ・クルーソン(主任マドレーヌ・モンペリエ)、アルバータ・ワトソン(フィッシャー医師)、ステイシー・ラバージ(若き日のフィオーナ)
結婚してから44年になるグラントとフィオーナは互いを深く愛し、肉体的にも精神的にも満ち足りた生活を送っていた。二人の出会いはグラントが大学で神話学を教えていたときにさかのぼる。フィオーナは彼の教え子のひとりで、彼女が18歳のときに結婚したのだ。20年前に教授職を辞したグラントは、フィオーナとその後にアイスランドから移住してきた彼女の祖父が建てたオンタリオ湖沿いの家で暮らしていた。老夫婦は春には近くの自然保護地区を散歩し、雪の季節にはクロスカントリー・スキーを楽しむのが常だ。二人仲良くキッチンに立ち、夕食を済ませた後はグラントがフィオーナに小説を朗読し、夜が更けていく。互いを思いやる温かさと笑いに満ちた生活にしかし、不調和が生じ始める。フィオーナにはアルツハイマー型認知症の影がしのび寄っており、洗い終ったフライパンを冷蔵庫にしまったり、友人夫妻を招いた夕食の席でワインが何かを忘れてしまったり。そんなフィオーナをグラントは辛抱強く見守り、彼女の失敗を訂正し続けていた。ある夕方、ひとりでクロスカントリー・スキーに出かけたフィオーナは、自身がどこにいるのかさえわからなくなる。夜になり、妻がいなくなったことに気づいたグラントが必死に捜索し、惚けた表情で道端にたたずむフィオーナを発見する。大事に至らなかったものの、病気を無視しておけないことに気づいたフィオーナは、老人介護施設メドウレイクへ入所することを自ら決断する。施設を事前に見学したグラントは主任のモンペリエから「施設に馴染むため入所後30日間は面会も電話連絡も禁止」というルールを知らされ、フィオーナの入所を躊躇するが、彼女の意思は変わらなかった。施設へ向かう途中、自然保護地区を通りかかったフィオーナは前春に見た水芭蕉のことを思い出す。と同時に、忘れたくても忘れられない苦い思い出を口にする。大学教授時代のグラントは、若く美しい女子大生と何度も浮気していたのだ。グラントと別れてくれなければ自殺するとフィオーナを脅した少女のことを苦々しく語る彼女の激しい口調にグラントは沈黙するしかなかった。1ヶ月後、面会を許されたグラントは、フィオーナが自分のことをまったく覚えておらず、車椅子に乗った男性オーブリーを非常に気にかけていることを知る。そんなグラントの気持ちも知らないフィオーナは、オーブリーは祖父がよく買い物をしていた金物店でバイトをしていた青年で、彼女の初恋の相手だったとグラントに伝える。記憶の混濁か、真実か? 愛妻に思い出してもらおうと施設に日参するグラントだが、フィオーナとオーブリーの間に芽生えた愛情が日増しに深まっていくのを目撃し、いたたまれない気持ちになる。ベッド横の壁にオーブリーが描いたフィオーナの肖像画が貼られているのを見て、やるせなさが増すばかりだった。グラントの献身ぶりに心を打たれた看護師クリスティは、彼を温かく励ます。率直で明るいクリスティに相談するうち、グラントはフィオーナのオーブリーに対する愛情は自分に対する罰なのではないかと語る。夫婦円満に見える夫妻だったが、グラントにはフィオーナに対する負い目があると考えるだけの理由があったのだ。そんなある日、オーブリーの妻マリアンが休暇から戻ると同時に夫を自宅に連れ帰ってしまう。オーブリーと離れ離れにさせられ深く落ち込むフィオーナは、ベッドに寝たきりとなる。このままでは彼女の要介護レベルが上がり、命すらも危うくなると心配したグラントは、マリアンを訪ねる。グラントが夫オーブリーを責めに来たと身構えるマリアンだったが、グラントは意外な提案を口にし……。【公式サイトより引用】
カナダの女優サラ・ポーリーさんの長篇監督デビュー作。
主演のジュリー・クリスティさんはゴールデン・グローブ主演女優賞(ドラマ部門)をはじめいくつかの賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた。
このところ、悪くはないんだけどもう一つ何かが足りない作品が続いているのだけど、この作品もまさしくそんな感じ。
予告篇を見た段階では、アルツハイマーの症状が現れた妻とそれを支える夫との物語ということで落涙必至だと思っていたのだけど…。
後ろめたいことがある夫が妻は忘れた振りをして自分を罰しているのではないかと疑ったり、症状が重くなった妻のために親しげにしていた男性を施設に連れてこようとしたりといった展開はいいのだけど、そこでその男性の妻と関係を持つのかがどうにも理解しがたい。
雪景色の白は贖罪の意味もあるのだろうが、何となくすっきりしない。
また、時系列が入り乱れているのもマイナス。
オリンピア・デュカキスさんを適度に出演させるためだったのかも知れないが、最初にグラントがマリアンの家を訪れるシーンを入れておいて、後は回想という形で夫婦とオーブリーの話に戻ればよかったのでは。
プロットが単純なだけに構成に凝る必要はなかったように思う。
ジュリー・クリスティさんは60代後半とは思えない美しさ。
ゴードン・ピンセントさんはあまり馴染みのない俳優さんだけど(あ、
『リトル・ランナー』の校長先生か)、妻を支えながらも苦悩する夫を好演。
エンディングおよび劇中でも使われているのがk.d.ラングさんの「Helpless」。
オリジナルはニール・ヤングさんのものだが、やっぱり名曲やねぇ。
★★1/2