「北村想 レジェンドプロデュース『NAGISAA〜流れゆく夜と霧〜』」
演劇道
北村想 レジェンドプロデュース
『NAGISAA〜流れゆく夜と霧〜』
【名古屋公演】
2008年6月20日(金)〜22日(日)
うりんこ劇場
前売・当日:2,500円
作・演出:北村想
照明:石原福雄(FRACTAL) 音楽・音響:北村想、ノノヤママナコ(マナコプロジェクト)
演出助手・舞台監督:久川德明 舞台美術:松本ひろし(ステージクラフト・サブ)
衣装:大池かおり イラスト・タロウカードデザイン:あおきひろえ
出演:咲田とばこ(古堂/桜子/ジュスティーヌ/鏡子/アリス/依頼人)
タローカードの占い師、古堂(いにしえどう)を訪れた依頼人の女性。カードをめくるたびに長崎原爆の被爆者の少女・桜子、『美徳の不幸』のヒロイン・ジュスティーヌ、坂口安吾『白痴』のヒロイン・鏡子、『不思議の国のアリス』のアリスが登場する。女性が占ってもらいたかったのは「ここで死ぬべきか否か」だった。
怒濤の新作ラッシュが続く北村想さん作・演出による独り芝居。
ジャブジャブサーキットの咲田とばこさんが1人6役を演じる。
いつもよりウンチクは控えめながら、観る側の基礎知識が求められる作品。
占い師と依頼人を除いた4人のうち、すぐに分かるのはアリス。
舞台上手に置かれたタローカード(本篇中にも出てくるがタロットカードというのは間違い、なんだそうで)らしき模様が書かれた大きな箱をボートに見立て、友達とともにそれに乗ってドジソン先生に向かって話しかける。その相手が『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルその人だということも、その知識がなくても分かるだろう。
ジュスティーヌは眼鏡をかけ、マルキ・ド・サドの『美徳の不幸』を朗読するという形で登場。これもまぁ分かりやすい方か。
桜子は箱の前に倒れこむような体勢で弱々しい声(ここのみマイクで台詞を拾っていた)。「広島に落ちたのと同じもんらしい」という台詞から長崎のことだと分かりはするが、ちょっと12歳の少女のようには感じられなかった。
鏡子は着物をはおって下手前面が立ち位置。これについてはまったく分からず。おかしいなぁ、『白痴』は読んだはずなのに(笑)。
以上4人の人物は依頼者の人格とも言えるしそうでないとも言える。
タローカードというのはおおよその役割はあるものの、占い方は様々あるそうで、結局は占い師と占われる人との関係に左右されるものらしい。
当たり前の話だが、同じ人でも相手によっていくつもの顔を持つ。
それを何かにあてはめて分類し(分かりやすい例で言えば血液型占いとか星座占いとか)人間を判断しようとするのはあまりにも一面的であり、また、あなたの前世はどうの守護神はこうのというのも滑稽。
ましてや人が生きるか死ぬかといった大問題の前では、昨今流行の占いやスピリチュアリズムなど何の役にも立たないのだ。
ブレイクタイムはありながらも1時間40分、1人で6役を演じ分けた咲田とばこさんはさすがだが、ちょっとトチリが多かった。北村想さんのブログによればご本人も反省しきりだったようだけど。