『ファーストフード・ネイション』
Fast Food Nation
2006年イギリス・アメリカ映画 108分
脚本・監督:リチャード・リンクレイター
原作・脚本・製作総指揮:エリック・シュローサー
撮影:リー・ダニエル 音楽:フレンズ・オブ・ディーン・マルティネス
出演:グレッグ・キニア(ドン・アンダーソン)、カタリーナ・サンディノ・モレノ(シルヴィア)、アシュリー・ジョンソン(アンバー)、ウィルマー・バルデラマ(ラウル)、アナ・クラウディア・タランコン(ココ)、ポール・ダノ(ブライアン)、パトリシア・アークエット(アンバーの母シンディ)、イーサン・ホーク(アンバーの叔父ピート)、クリス・クリストファーソン(ルディ・マーティン)、ブルース・ウィリス(ハリー・ライデル)、アヴリル・ラヴィーン(アリス)、アーロン・ヒメルスタイン(アンドルー)、ルー・テイラー・プッチ(ジェラルド・“パコ”)、イーサイ・モラレス(ミッキーズ社員トニー)、ルイス・ガスマン(ベニー)、ボビー・カナヴェイル(精肉会社マイク)、ダナ・ウィーラー=ニコルソン(デビ・アンダーソン)
メキシコ・アメリカ国境付近の砂漠地帯。アメリカへの密入国を目指し、闇の中を、運び屋の車が待つポイントへと向かうメキシコ人たちの姿があった。ラウルとシルヴィアの夫婦、シルヴィアの妹ココ。あともうひと息、というところで突如、国境パトロールの車が姿を現した。散り散りになる集団。「ロベルトがいないわ。ロベルト!」、仲間の名を呼ぶココ。「あいつは三度目の国境越えだ。大丈夫。はぐれても、道なら知ってる」。やがて運び屋と合流し、バンの荷台にギュウギュウに押し込まれた密入国者たちは、夢の国アメリカに辿り着いた。カリフォルニア州アナハイム、ミッキーズ・バーガー本社。会議室では、マーケティング部長のドンが、主力商品のハンバーガー“ビッグワン”の新コピー案をプレゼンしていた。好調な売上げに、幹部たちも上機嫌だ。本社内の研究室では、研究員たちが香料の開発に余念がない。「バーベーキューの香りだよ」、香料を差し出す研究員。「本物そっくりだ」とドン。ドンは社長に呼ばれた。「テキサスの大学の院生たちが、ファーストフード各社の肉パテを分析した。わが社のパテから多量の糞便性大腸菌が検出されたそうだ。公になったらまずいことになる。コロラドの工場に調査に行ってくれないか」。コロラド州コーディ、ユニグローブ社精肉工場。密入国したメキシコ人たちは、裏業者から低賃金の違法労働を斡旋された。シルヴィアはビジネスホテルの客室清掃、ラウルとココは、ミッキーズの契約しているユニグローブ社の精肉工場だ。ラウルは熱湯で機械を洗浄する仕事に、ココは牛肉を切り分けるラインに就いた。新入りの女に手を出すことで悪名高い、ラインの現場責任者マイクは、すぐにココに目をつけ、またたく間にねんごろになった。ココはマイクからつかの間辛い仕事を忘れることが出来るドラッグも教わった。一方、ラウルとシルビアは、アメリカで地道に働き、生活基盤を作ろうと必死だ。コロラド州コーディ、ミッキーズ・バーガーコーディ店。ミッキーズ・バーガー コーディ店の厨房では、ブライアンらアルバイトたちがちんたらと時間をやり過ごしていた。「ミッキーズへようこそ!」カウンターを受け持つ生真面目な女子学生アンバーだけが、お客を笑顔で迎えていた。そのお客はドン。大腸菌混入の原因を探るため、コロラドにやって来たのだ。視察した精肉工場は、衛生管理も行き届いており、システマチックに機能しているように見えた。ドンは、まずコーディ店の店長から始め、コロラド支社長、元の契約牧場主ルディを訪ねてヒアリングし、問題点を探ろうと努める。「工場のライン稼動が早過ぎて、従業員たちの作業が追いつかない。血や糞便が肉に混入することなんて日常茶飯事。事故も多発している」という噂も聞く。コロラド支社長は「パテを生で食う奴がいるか? 焼いてしまえば、大腸菌など問題ない」と、ドンの目の前でバーガーに噛り付く。まるで隠された真実を食べつくさんばかりに。やがて、押し寄せる現実に人々は翻弄されていく…。【公式サイトより一部改変して引用】
エリック・シュローサーさんの『ファストフードが世界を食いつくす』を基にリチャード・リンクレイター監督が映画化。エリック・シュローサーさんは監督とともに脚本を担当し、製作総指揮も兼ねる。
『いのちの食べかた』という作品があったせいか、最初はてっきりドキュメンタリー映画かと思っていた(笑)。
『そして、ひと粒のひかり』のカタリーナ・サンディノ・モレノさんがまたしてもアメリカへの移民役。
さほど目立ったシーンはなかったが、夫のラウルが機械に巻き込まれた友人を救おうとして大怪我をして、その代わりに精肉工場で働くことになった彼女が最後に見せる一筋の涙がやっぱりいいねぇ。
アヴリル・ラヴィーンさんは実写映画初出演。
環境保護運動に熱心な学生役で、アンバーたちを巻き込んで牧場の柵を引っこ抜き、牛を逃がそうと試みる。ところが思うように牛は動いてくれず…。
牛には自分たちを待ち構えている運命なんて分かるはずもないのだから、「自由」よりもそこに留まることを選ぶ(というほどのものでもないが)のは当然のこと。
こういった運動の偽善さが浮き彫りとなる。
最後に新たにアメリカを目指してやってくる移民たちの姿が映し出される。
いくら劣悪な環境で低賃金で働かされようとも、その流れが途絶えることはないだろう。
一体、彼らが祖国でどのような暮らしを送っているのかと思わずにはいられなかった。
★★1/2