『ハンティング・パーティ』
the HUNTING PARTY
2007年アメリカ・クロアチア・ボスニア・ヘルツェゴヴィナ映画 103分
脚本・監督:リチャード・シェパード 原案:スコット・K・アンダーソン
撮影:デイヴィッド・タッターサル 音楽:ロルフ・ケント
出演:リチャード・ギア(サイモン・ハント)、テレンス・ハワード(ダック)、ジェシー・アイゼンバーグ(ベンジャミン・ストラウス)、ジェームズ・ブローリン(フランクリン・ハリス)、マーク・イヴァニール(ボリス)、ダイアン・クルーガー(マルヤナ)、リュボミール・ケレケス(ボグダノヴィッチ・“フォックス”)、クリスティナ・クレペラ(マルダ)、ジョイ・ブライアント(ダックの恋人)、ゴラン・コスティッチ(スルジャン)、ディラン・ベイカー(CIA諜報員)
ボスニア紛争終結5年後の2000年、サラエボ。記念式典の取材のため、5年ぶりにこの地に降り立った元戦場カメラマンのダック。彼の前に、かつて戦場リポーターの頂点に輝きながら破滅し、消息を断っていた元相棒のサイモンが姿を現す。戦地を離れ、ニューヨークで出世街道を駆け上ったダックとは対照的に、サイモンは危険地帯を渡り歩き、幽鬼のような姿に成り果てていた。驚くダックに、サイモンはさらに驚愕の言葉を吐く。「ぶっ飛ぶようなネタがある」そのネタは、500万ドルの報奨金をかけて国連やNATOやCIAが捜しているにもかかわらず逮捕できない、重要戦争犯罪人フォックスの潜伏先の情報だった。危険な生き方を封印し、金や女に不自由しない生活を送っていたダックだが、“戦友”サイモンの再起をかけた心を思い、半信半疑ながら彼の言葉に乗る。一緒に来訪していた新米TVプロデューサーのベンは、驚愕のスクープで副局長の父親を見返したいという野心から、自分も連れて行けと主張する。こうして、3人の男たちが潜伏予想地・チェレビチを目指し、危険きわまりない冒険に動き出した。車は今でもフォックスを崇める人々が存在するセルビア共和国へと潜入する。彼らを狙って、銃弾がかすめ飛ぶ。だがそれは、ダックがテーブルに置いた食事代をサイモンがかっさらって来た“ただ食い”が原因。唖然とするベンをよそに、ダックは昔のスリルを思い出し、思わずニヤリとする。国連司令部のあるフォチャに到着した3人は奇妙な状況に巻き込まれる。国連司令官のボリスにCIAから派遣されたフォックス暗殺部隊と思い込まれてしまったのだ。ジャーナリストだと主張すればするほど身分を隠したCIAだと思われてしまう。困惑するダックとベンだが、サイモンはどこ吹く風。その上、彼の目的はスクープだけでなく、フォックスを捕まえて報奨金を獲ることと2人に明言する始末。「イカレてる!」と呆れ、憤る2人。だが、サイモンの決意はいい加減なものではなかった。サイモンにはボスニア紛争中、フォックスによる「民族浄化」という名の大虐殺で、妊娠中の恋人マルダをレイプ、惨殺された辛い過去があった。彼は遺体を抱きしめた20分後の生放送で、浅薄な“真実”しか見ようとしない世の中にブチ切れ、スター・リポーターの座から転落する。そこから、彼の地獄が始まった…。サイモンへの不信感を募らせるベンを見かねて、ダックはサイモンの悲劇を話し、「テレビに映る世界と本当に起きていることとは違う」と諭すのだった。世界の闇とサイモンの苦悩を知ったベンの沈黙を乗せ、車はチェレビチを目指す。銃を構えた男たちが見張る山道を登り続け、3人はチェレビチの村に到着した。情報を得ようにも敵意に満ちた村人たちから銃口を向けられ、不審な車を追うも密輸団に囲まれ殺されそうになって山奥へは潜入できない。サイモンの情報源に再度あたろうと提案するダックに、サイモンは「情報源などデッチ上げだ。お前を誘い込む口実だった」と告白する。何としてもフォックスを捕まえたいサイモンの鬼気迫る魂にたじろぎながらも、ダックは友情を利用され、怒りを抑えきれない。そんな夜、ボリスの手引きで情報屋・マルヤナとの接触が成功した。セルビア人ながらフォックスを憎むマルヤナは、危険の代償として法外な金を求めてきた。ベンはCIAと思われていることを逆手にとって、タダでフォックスの潜伏地へ案内させる交渉を成立させる。その意外な度胸と機転に、サイモンとダックは舌を巻く。だが、この地では全てがフォックスに筒抜けだった。3人には尾行が付き、周囲には秘かに見張る目があった。 CIA暗殺部隊と思われてしまった3人は、行動を起こすより先に拉致され、山中に監禁されてしまう。ベンをかばって、フォックスの警備兵が振り上げた斧に身をさらすサイモン。ダックはサイモンを死なせまいと、猿ぐつわの下から怒号を絞り出す。憎むべきフォックスが姿を現す。その時、一発の銃弾が警備兵を貫き、武装した男たちがなだれ込んで来た。彼らはなんと、本物のCIA。慌てて逃げ出すフォックス。だが、追う者は誰もいない。欺瞞に満ちた世界が、突如3人の前に姿をさらけ出す。戦犯追跡に血眼になっているはずの組織が、なぜか故意にフォックスを取り逃がしている。3人は互いの目を見交わす。言葉を尽くさぬとも、心は同じ。サイモンは、一生一度の熱い勝負を予感していた。ダックは、危険に生きる意義を感じていた。ベンもまた、本物のジャーナリストの情熱を心に宿していた。彼らは、強制帰国を命じる当局を出し抜いて、ボスニアの平原を走り出す。【「CINEMA TOPICS ONLINE」より引用】
2000年、アメリカ人ジャーナリストのスコット・アンダーソンさんが「Esquire」誌に発表した記事を基にした作品。本篇では3人のパーティだが、実際はオランダ人やベルギー人を含め5人で戦争犯罪人ラドヴァン・カラジッチ捜索に乗り出し、CIAに間違われたのだとか。
もっとも、「この物語のまさかと思う部分だけが真実である」という前置きがある通り、大部分はフィクション。本篇の最後に誰が実在した人物でどの部分が実話かというネタばらしがあり、ダイアン・クルーガーさん(たった1シーンかよ!)が演じたマルヤナは実在の人物だが、実際は男だったそう。
ユーゴ紛争についての知識はさほど必要なく、サイモン、ダック、ベンの組み合わせもよく、あくまでフィクションとして楽しめる。特にサイモンと再会したダックが徐々に昔を思い出し、サイモンの行動にニヤリとする表情がいい。
ただ、最後の“復讐”はちょっとどうかなという気も。国外退去を命じられて飛行機に乗り込む直前で3人が走り出すあのショットで躍動的に終わらせてくれた方がすっきり終われたように思う。
それにしても、
『カルラのリスト』でも関係諸国やアメリカが戦争犯罪人逮捕に積極的ではない様子が描かれていたが、なぜ戦争犯罪人を野放しにしておくのか不可解極まる。最後に「ビン・ラディン捜索に忙しいのだろう」といった皮肉めいた一文が出るのもアメリカ映画らしいところではあるが。
ちなみに『カルラ〜』にも出てきた痩せた男性が映った映像が本作でも使われていた。何だか彼を見るたびに千原ジュニアの顔が浮かんできてしまうんだよなぁ。
★★1/2