『アメリカを売った男』
BREACH
2007年アメリカ映画 110分
脚本・監督:ビリー・レイ
原案・脚本:アダム・メイザー、ウィリアム・ロッコ
撮影:タク・フジモト 音楽:マイケル・ダナ
出演:クリス・クーパー(ロバート・ハンセン)、ライアン・フィリップ(エリック・オニール)、ローラ・リニー(ケイト・バロウズ)、カロリン・ダヴァーナス(ジュリアナ・オニール)、ゲイリー・コール(リッチ・ガーセス)、デニス・ヘイスバート(ディーン・プリザック)、キャスリーン・クィンラン(ボニー・ハンセン)、ブルース・デイヴィソン(ジョン・オニール)
2000年12月。捜査官昇進を目指してテロリストグループの監視を続けていたFBI訓練捜査官エリック・オニールは、上司のケイト・バロウズ特別捜査官に呼び出され新たな使命を言い渡される。それは新しく創設される情報保護部の職務に就き、部長となるロバート・ハンセンの行動を逐一報告するというもの。勤続25年で定年退職を間近に控えたハンセンはNo.1捜査官として名高かったが、性的倒錯者の疑いがあると言う。しかし実際に接してみるハンセンは敬虔なカトリックで、東ドイツ出身の妻ジュリアナとともに自宅に招かれて家族ぐるみの付き合いをするうちに親愛の念を抱くようになっていく。行き詰ったエリックはバロウズに真相を問い質す。バロウズはハンセンにかけられた本当の容疑は、彼が1985年からソ連・ロシアのスパイとして国家機密を漏洩し、アメリカに莫大な損害を与えているというものだった。ジュリアナにも本当のことを打ち明けられずにすれ違いが続く中、エリックはハンセンのパソコンからデータを盗み出し、ディーン・プリザックが指揮する作戦に協力する。
アメリカ史上最悪の機密漏洩事件の首謀者ロバート・ハンセンが、2001年2月18日逮捕されるまでの2ヶ月間を描いた作品。
上質な人間ドラマ。
地味という意見が多いようだが、ハンセンとエリックの駆け引きに引きつけられる。
ハンセンが勤続25年の記念撮影をしている間にパソコンのデータを盗み出し、いったんは自分の机に戻るもメモリー(?)を鞄の違うポケットに入れてしまったことに気づいて入れ直すところや、ディーンたちがハンセンの車を解体して調べる間にハンセンがFBIに戻らないようにエリックが口から出まかせを言って引き止めるところとか充分にスリリング。
また、ハンセンがどうしてスパイ行為を行ったかという点についても、まだ数年しか経っていない状態で描けない部分もあっただろうし、本作の主題ではないような気がする。
それよりはエリックの心理の方が興味深い。
野心家だった男がとてつもない事件に関わることになり、ハンセンが逮捕された後はFBIを辞めて現在は弁護士をしている。
一体、彼にとってこの事件とは何だったのか。
本人が映画に特別顧問として参加しているだけあって、そちらは充分に描かれていた。
敬虔なカトリックである一方で、妻との性行為を録画してネット上で配信するなど、ハンセンは実に正体がつかめない人物だが、それをクリス・クーパーさんが好演。
特に最後、エレベーターで連行される際にハンセンに出くわしたときの表情。
そして「祈ってくれ(Pray for me.)」という台詞が印象的だった。
★★★