「『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』」
演劇道
『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』
【名古屋公演】
2008年4月21日(月)
愛知厚生年金会館
S席:8,400円 A席:7,350円
作:後藤ひろひと 演出:G2
美術:古川雅之 照明:小川幾雄 音響:井上正弘 音楽:佐藤史朗
衣裳:前田文子 ヘアメイク:小島裕司 劇中歌:瓜生明希葉
演出助手:髙野玲 舞台監督:榎太郎
出演:吉田鋼太郎(大貫)、志村玲那(パコ)、笠原浩夫(室町)、新妻聖子(光岡)、岡田浩暉(浅野)、春風亭昇太(堀米)、山内圭哉(龍門寺)、中山祐一朗(滝田)、戸次重幸(浩一/浩二)、月船さらら(雅美)、楠見薫(木之元)
家を新築した両親と離れ、一人暮らしを始めた浩二のもとを堀米と名乗る老人が訪れる。部屋に残された仏壇に飾られた浩二の父の伯父・大貫の写真を見た堀米は、『ガマ王子vsザリガニ魔人』という絵本についての昔話を始める。かつてあった総合病院でのこと。会議中に倒れ、貿易会社ソラールの社長の座を追われて会長となった大貫は、病院でも傍若無人に振る舞っていた。主婦の木之元、消防士の滝田、ヤクザの龍門寺ら他の患者たちから嫌われ、その病院で看護師をしている甥・浩一の妻・雅美も手を焼く中、交通事故で一人きりで入院していた少女・パコだけは大貫に平気な顔で近づく。誕生日に母親からもらった絵本『ガマ王子vsザリガニ魔人』を毎日読み続けるというパコ。ある時、ライターをなくして必死で探していた大貫は、それを持っていたパコに手をあげてしまう。ますます病院で孤立していく大貫。だがパコは翌日も大貫に近づく。事故に遭って以来、パコの記憶は一日しかもたなくなってしまったのだった。大貫は院内で行われるサマークリスマスの出し物として、パコのために絵本の内容を基にした芝居を上演することにする。
2004年初演の舞台の再演。
今回は山内圭哉さんを除いてキャストを一新。
初演で堀米を演じていた後藤ひろひとさんまで交代するとは思わなかったが、新作のためだろうな。
初演時は伊藤英明さん、長谷川京子さんが出演とあってそちらが主演であるかのような扱いを受けていたが、実際は木場勝己さん扮する大貫と加藤みづきさん扮するパコが物語の中心だった。
「お前が私のことを知っているというだけで腹が立つ」というのが口癖の大貫は、他の患者や医師、看護師たちはもちろん、甥の浩一やその妻・雅代にも心を開かない。
大貫はまさに唯我独尊。今まで己のやり方を変えようとはしなかった。
それに対し、一日しか記憶がもたないパコは同じ毎日を繰り返し、変わりたくても変わることができない。いや、変わりたいと思うことさえない。
そんな大貫がパコとの出会いを通じて変化しはじめ、彼女に必死に自分の存在を覚えてもらおうとする姿がいじましい。
もう一人、変わることを拒否し続ける男がいる。
天才子役として活躍したものの成長に追いついていけず、自殺未遂を繰り返す俳優・室町。
彼も看護師・光岡の協力を得てあるがままの自分を受け入れていく。
初演に比べると地味になったが(笑)、内田朝陽くんの代役・笠原浩夫さんは室町の苦悩をより強く感じさせ、ザリガニ魔人でも見事な弾けっぷり。
これが初めてのストレートプレイとなる新妻聖子さんも歯切れのいい台詞回しで心地よい。
ちなみに本作は中島哲也監督により『パコと魔法の絵本』として映画化される。
映画版のキャストで舞台をやってくれんかな…(笑)。