多分、少女の小さな罪の物語──
わざわざ紹介するまでもなく、昨年、割と話題になった映画だ。
人間誰しも、メジャなものをメジャというだけで毛嫌いしてしまう
サブカル大好き女子中学生みたいな一面を持っているので、こういったモノを避けてしまう傾向がある。
あからさまに
パクりくさいタイトルを使用していることもあって、今までなんとなく避けていたのだが、まあ、大沢たかおも好きだし、柴崎コウだって嫌いじゃない。食わず嫌いもなんだろうということで、観てみることにした。
一言でいえば、最近の泣き系邦画に属する作品。
しっかりした絵作りをしているし、地に足の着いた演出も観ていて心地よい。
主な舞台は、香川。
特に方言などが使われているわけではないので、ロケ地が香川なだけかも知れないが、一応、作中で「高松空港」などと言っているので香川なのだろう。
この手の泣き系邦画、
『解夏』(磯村一路監督)は長崎、
『黄泉がえり』(塩田明彦監督)は熊本と、なんとなく西の方(九州・四国)が多い気がする。
とはいっても、後に放映されたTVドラマ版
『世界の中心で、愛をさけぶ』のロケ地は伊豆だ。
香川と伊豆じゃ、カナリアとセパレブくらい違うな……。
閑話休題。
内容は、大沢たかお演じる朔太郎と、そのフィアンセである柴崎コウ演じる律子を主軸に、1986年の香川で朔太郎が過ごした日々と少女アキとの思い出を浮き彫りにしていく。言ってみれば過去への巡礼。
現代編と過去編で朔太郎のキャスティングが違うこともあって、うまく現代と過去をクロスフェードさせた演出はとても好感が持てた。
単に過去に縛られた者だけが持つ共鳴に過ぎないのかもしれないけど……。
特に、17歳の朔太郎を演じる森山未來の純朴な佇まいと、アキを演じる長澤まさみの健やかな立居振る舞いは非常に好感なので、「ロミオとジュリエット」や「白血病」といったあからさまな記号(ノーコメント)さえ受け付けることができれば、17年前の世界に没入することができると思う。
(ただし、僕は猫のホテルの市川しんぺー氏が登場する場面で唐突に素に戻されてしまったが……)
個人的に気に食わなかったのは、朔太郎とアキとの関係と律子の間に多少なりとも因果関係があったことだろうか。
これがこの映画の唯一の仕掛けで、これがなくなると作品として成り立たなくなるのかもしれないが、引っ張るせいで長く感じたし、これがあることで一気に世界が狭くなってしまったような気がした(この辺は最近の『ジ・オリジン』にも言えることだなぁ)。
いくら二人がウルル-カタ・ジュタの地を踏もうとも、世界は狭いままだ。
それはともかく、まあ悪くない作品ではあるので、意図的に避けている人がいたなら、まあそんなに邪険にしなくてもいいんじゃないの? くらいのノリで。
『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)
監督:行定勲
脚本:行定勲/坂元裕二/伊藤ちひろ
プロデューサ:市川南/春名慶
音楽:めいなCo.
出演:大沢たかお/柴咲コウ/長澤まさみ/森山未來/天海祐希/杉本哲太/宮藤官九郎/津田寛治/高橋一生/菅野莉央/ダンディ坂野/近藤芳正/木内みどり/森田芳光/田中美里/渡辺美里/山崎努
原作:片山恭一
⇒世界の中心で、愛をさけぶ公式サイト

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