長野県の軽井沢からちょっと足を伸ばしたところに、日本最大規模のメドーガーデン(牧草地風の庭)が出来たのってご存じですか?
パラダでは、野生種の花もくわえると年間400種類ちょっとの花々が自然風に咲き乱れ風に揺れています。
それだけではありません、この花園は、失われかけた自然を呼び戻すためのさまさまな仕組みを組み込んでいるので、虫たちの牧場とも呼ばれているんですよ。
そう、夏休みに子供達が自由に走り回って虫をつかまえることの出来る、日本で唯一の自然公園でもあるんです。
その辺のことも書くとなると、膨大な量のレポートになってしまうので、今回は取り敢えず花園エリアの花の様子だけ眺めながら散策してもらうことにしましょうか。
東京駅から長野新幹線で佐久平まで72分。
高速道路利用なら練馬ICから150km。
ETC搭載車でなら佐久平PA(佐久平ハイウェイオアシス)のスマートインターからもアクセス可能。つまり、高速道路を降りずに施設のご利用ができるんですよ。
詳しくは、
パラダへのアクセスをご覧くださいね。
昆虫館からゲレンデ上部のビオトープエリアまでで600m。さらに林床の植生回復をしている龍神池上の自然散策路と昆虫館脇からはいるセラピーロードも含めると1Km以上の野の花散策エリアが広がっています。
この写真は、メドーガーデンの中間地点あたりから麓の昆虫館を見下ろしたところです。
緑の葉が繁っている部分は、これからの季節に花を咲かせる植物たち。
季節ごとに様々な表情を見せてくれます。
雨の日や朝露に輝く牧草のあいだに揺れる花々は、イギリスの絵本に出てきそうな風情をたたえています。
この広大な花園の魅力は、もちろん花の美しさだけではありません。
様々なハーブ類も組み合わせられていますから、手で触れると良い香りに包まれて、とてもリラックスできるんです。
ハーブ類の香りには強い抗菌作用もありますから、この花園は造り始めてからの3年間、一度も農薬のお世話になっていないんですよ。
と言うより、そもそもこのメドーガーデンは佐久平で見かけなくなってしまったチョウチョや絶滅危惧種に指定されているめずらしい昆虫たちを呼び戻し、どんどん殖えられる場所にしようという、そんな目的で植物の選定をしているんですから。
農薬なんてもってのほかです。
いえいえ、ここの花園では、これまでに一度も害虫の大量発生なんて起こったことがないんですよ。
とても複雑な生態系が出来上がってバランスをとっているおかげで、どれか1種類の生き物が大発生することなんてそもそも不可能なんですから。
赤い花は、ベルガモットの香りのするモナルダというハーブ。
ビーバームとも呼ばれる豊富なミツを出す花で、ミツバチなどがせっせと仕事に励んでいます。
ここは、さっき麓を見下ろした地点から50mほど登って、山頂方面を眺めた景色です。
どこか知らない国の牧草地のはずれか、高原のお花畑みたいじゃないですか?
花の咲き方がどこか自然風で、常に何種類かが組み合わさっていますね。
これは、自然な草原などの花の咲く配置と同じ仕組みで植物を組み合わせて植えているからなんですよ。
自然状態では、同じ条件の土地では常に何種類かの決まった組み合わせの植物が、一見不規則な感じでかたまりを作って育っています。そんなまとまりを、生態学的には群落と呼んでいるんですが、この花園では園芸植物と野生の植物を組み合わせて人工的な群落を作り出して、植物層全体を安定し複雑に入り組んだ構造になっていくように配置しているんです。
まぁ、小難しい話しはこれくらいで。
ね、何だか自然風でホッとするでしょ?
こんな自然風の植え付け方を、僕はフラクタルガーデンって呼んでいるんです。
自然界に広く見つかる、不規則の規則とでも言えばいいかな。
自然の風景を眺めたときホッとして和んでしまうのは、実はこの自然界のリズム、フラクタルがひそんでいるからなんですね。
で、こんな風に背の高い植物や低い植物が複雑に入り組んで育っていると、日陰や日向、乾いたところや湿ったところ、風通しが良かったり悪かったりと色んな条件が入り組んで、色んな生き物の好みにあった住みかが生まれるんです。
毛氈花壇みたいに1種類の植物をペタッと植えるときとは比べものにならないほど、豊かな生態系を育むことが出来るんですよ。
それと、もうお気付きかも知れませんが、このメドーガーデンのほとんどの植物は宿根草なんです。
だから、年々株が増えていき、植えっぱなしにしていてもどんどんゴージャスに花があふれかえっていくようになるんです。
毎シーズンごとに全部植え替える1年草の花壇ではこうはいきません。
おもな手入れは、年に何回か選択的除草(数種類の爆発的に殖える帰化植物だけを抜き取る作業)と、伸びすぎた牧草の刈り取りをして、花壇全体のメリハリをつけること。
これだけ。
このエリアは、春先にはシバザクラがべったり一面に咲くので、僕としては嫌いな場所。
シバザクラって確かにハデだけど、花の時期は春先のほんの半月ちょっと。あとは何の魅力もない葉っぱだけじゃないですか。
なので、こんな風にこぼれ種で色んな花が咲くように選択的除草だけして、オレンジ色のガイラルディアや白い西洋ノコギリソウだのガウラだのが気ままに風に揺れる場所にしています。
細い緑の葉っぱはキンエノコロ。
秋には一面金の絨毯になり、コスモスなんかも仲間に加わります。
あ、しぶといシバザクラは、この程度のことでは全くへこたれません。
ってか、何だか相変わらずの勢いでどぎつい色の花を着けるので、ちょっと鬱陶しいんですよね。
来年あたり少し抜き取ってせめて自然風に分散させようかなと思ってます。
キンエノコロがみのると、カワラヒワやホオジロなどの野鳥が群れをなして食事に来ます。
そう、一面のサルビア花壇だった4年前までは、スズメさえ来ない寂しいゲレンデでした。
僕がこの花園の手入れをするようになって3年目の去年、やっと秋の虫が鳴くようになったんですよ。
はじめの2年間は、秋になってもシンとして、
レイチェル・カーソンばりに、沈黙の秋に脅えていたんだっけ。
何年にもわたる
モノカルチャー(1種類だけの作物を栽培すること)と農薬の影響で、ゲレンデの生物相が根こそぎ失われていたんですね。
回復までに一体何年かかるんだろうと胸を痛めていたんですが、たった3年で秋の虫たちが一気に盛り返したのは本当に嬉しかったなぁ。
そう、カンタンが涼しげな声で鳴くのを聞いたとき、高原の草地の秋はやっぱりこれがないと不自然だよねって、改めて思ったものでした。
おっといけない、長話が過ぎましたね。
足早に見て回ることにしましょうか。
バラも植えっぱなしで、毎年立派に花を着けてくれます。
新芽の先端にアブラムシがたかっているのなんて見たことがありません。
色んな天敵が暮らしてますからね。
今年は、梅雨の影響なのかポピーが遅くまで咲いてくれて、賑やかさを添えてくれてます。
生育が旺盛すぎて、日本の野生植物の回復を遅らせてしまう牧草の抜き取りもしています。
代わりに佐久平では除草剤のおかげでほぼ絶滅状態にまで追い込まれてしまったあぜ道のイネ科雑草の定番、チガヤやカゼクサ、チカラシバ、エノコログサのなかま(キンエノコロやムラサキエノコロなど)、葉がまっすぐに立って地際まで日光が通りやすい草を殖やしています。
そうすることで、オミナエシやオトコエシ、ヒヨドリバナやトモエソウなんて言う日本の野の花が殖えられる環境に造り替えている途中です。
オオイヌタデやオオアレチノギク、セイタカアワダチソウやヒメジョオンなどの帰化植物がはびこらないように地面を覆う植物も育てています。
といっても、急場しのぎでクローバーばかりなんですが。
これからもっと色んな種類で地面を覆っていけば、さらに安定した複雑な生態系が出来上がっていくんですけどね。
クローバのおかげで、最初の年に堆肥を鋤き込んだだけでこの3年間、追加の肥料なしで宿根草がすくすく育って居るんですよ。
さすが、根粒菌パワー!
そうそう、世界的には、無灌水の庭が注目されてるそうですね。
ここ佐久平の晴天率は、全国で一位だか二位を争うくらいなんだそうですが、そう言えば苗の植え付けの時に2週間ほど水を撒くだけで、あとは全くの無灌水なんですよ。
何せ広大な面積なので、花から水まきなんてのは管理の中に入れてなかったんで、NHKの海外レポート番組を見て、あれま、水を撒かないのって特別なことなんだとやっと認識した次第でした。
手間が掛からず、年々ゴージャスな花園に育っていく、どうです?あなたもそんな庭造りを考えてみませんか?
A(^_^;