さる9月23日、東京都足立区で開催された上橋菜穂子さんの講演会に行くことが出来ましたので、簡単ながら報告させていただきます。
上橋菜穂子講演会『物語に魅せられて 作家になるまで』
主催、足立区立中央図書館。
会場、足立区立梅島小学校体育館。
開催2006年9月23日
冒頭、足立区立中央図書館長の方の挨拶と上橋さんのプロフィール紹介があり、講演が始まる。来場者数は100人以上150人くらいか。
お話は上橋さんの生い立ちから子供時代、本との出会い、中学、高校、大学時代、そして作家を目指してみて…、というのがおおまかな流れでした。
それが豊富なエピソードをもとに語られ、時間がたつのを忘れるほどでした。
ネタバレは上橋さんの本意ではないので、フックになるようなキーワードを書き出してみます。
・神田の生まれで小学校の同級生に林家こぶ平(現・正蔵)がいた。
・父に禁止されたウルトラマン。
・明治生まれの祖母の昔語り。
・専業画家だった父が禁止したマンガ、しかし。
・本屋での立ち読みを成功させる法。
・夢中になって読んだ本達。
・お嬢さんの成績で波乗りが出来ますよ!
・流れ流れて文化人類学へ。
・やさしかった沖縄のオジィ、オバァ。「まぁ、食べれー」
・なぜアボリジニを選んだのか。
・前から好きだった攻殻機動隊。
・ただ、夢中になって読めるものを書きたい。
etc…
以上、一部を書き出してみました。
今回、上橋さんの講演を聞く機会を得て直接、謦咳に触れることができました。
上橋さんの人となりについて御本人の口から語っていただき、ニコやかながらエネルギッシュな人柄がどこからきたのか少し、わかった気がしました。
御本人の口から語られる子ども時代、そこには今は遠くなった昭和の香りが漂っていて、懐かしさや、憧れを感じました。
自分が知っているのよりも少し前の世代が見たり、感じてきたことがとても豊かなものだったと思うことがあるのですが、お話を聞いていて、久しぶりにその思いを強く感じました。
子どもの頃にウルトラマンを本放送で見ていたというのは本当にうらやましいですね。
(それか!)
講演を聞きながら、文化人類学という学問を仕事にされていて、こちらが思いもかけないような出来事があったり、苦労をされているのではないかと感じました。
ちょっとカタギの仕事とは違うというニュアンスのお話もあって、そのあたり、「カタギ」でない用心棒稼業のバルサに反映されているのかなと想像してしまいます。
公ではアカデミックな世界に身をおかれていて、私では無類の物語好きと、ギャップが面白いと思うのですが、攻殻の素子が好きー!というあたり身の回りにわかる方がどのくらいいるのだろうと勝手に心配してしまいます。
バルサは木枯紋次郎のようにふらっとあらわれて、揉め事を片付けて、風のように去っていくキャラクターだと以前、上橋さんはおっしゃっていたのですが、ご自身もふらっと(ではなく招かれてですが)見知らぬ土地を訪れて、お話をして、また去っていく…。なぜか重なっていく作者とキャラクターの不思議です。
記述は今後、上橋さんの講演をどこかで聞かれる方もいようかと思いますので、楽しみを壊さぬようになるたけ心がけてみました。
講演会の後は上橋さんのご厚意によりサイン会となり、50人以上は並ばれたと思います。予感がして自分も上橋さんの本の中では一番軽い「隣のアボリジニ」を忍ばせていたのですが、当たりでした。自分の1人前に並んでいた女の子に、自分も背が低くてウォンバットに似てるからメガネのウォンバットってあだ名なんだよ、というようなことを話しかけられているのを小耳に挟んでしまいました。
私は新刊「獣の奏者」について少し聞いてみました。
すると、
西尾○新とか京○夏彦のとこではない。(意訳)
1冊300pオーバー。
とのこと。うーむ、このくらいの情報ならOKかなー?
後は私事ながら上橋さんを読んでいる母を誘ったら父まで来て驚いたとか(母の実家の菩提寺が近くにあってお彼岸のお墓参りを兼ねて)、会場の近くでお昼に食べたお蕎麦がおいしかった、のは余計ですね。
サインをいただいて会場を後にしました。上橋さんの笑顔とお話のおかげか、終始なごやかな会でした。上橋さんはじめ、参加の皆様、お疲れ様でした。
おまけ。
主催の足立区立中央図書館が作製した今回の講演会の案内に、上橋さんのプロフィールと著作リストが付されていたのですが、このリストに、知らない書名があったので記しておきます。
老いの人類学 世界思想社
多分化国家の先住民、オーストラリア・アボリジニの現在 世界思想社
「心」の子ども文学館13 カミとヒトの世のころ 日本図書センター
国勢調査の文化人類学,人種・民族分類の比較研究 古今書院
大体が上橋さんの専門分野の本のようでなかなか見つけられなさそうです。
講演会の壇上には守り人などの本も展示されていて、上記の本のうち、「カミとヒトの世のころ」がありました。知らない本がある!とびっくりしました。足立区の方はこの本がすぐに借りられるのですね、うらやましいなー。
ちなみに、国民の知る権利として、最寄の図書館を通じて国会図書館の本を借り出すことが出来るので、図書館に行ける人なら上記の本を全て読むことは可能です。
で、地元の図書館で調べてみたら「カミとヒトの世のころ」以外ありました。
どれも文化人類学関係の本のようで、上橋さんはアボリジニに関する調査報告を寄稿されているようです。「隣のアボリジニ」以降の研究者上橋菜穂子さんの姿を知ることが出来そうですね。そのうち読んでみよう…。
とりあえず、あなどりがたし足立区立図書館!

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