商品の世界のヒット商品ほどではないのですが、先日のティコフィレアのように、植物の世界でも小さなヒットのブームはあるのです。

これは“青いチューリップ”のパッケージの写真です。数年前からの人気が出てきて、当初は1球で数千円したようです。今では5球入りが500〜1000円位で売られています。
花弁の底がブルー、といっても紫色が入っているみたいです。私も今年が初挑戦なので、どんな色が咲くのかはまだ実物を見たわけではありません。
どうも日本人は(外国人もそうなのかもしれませんが)“青い○○”には弱いようです。90年の大阪花博の時にブームになった“青いけし”も神秘性を帯びていましたし、先日切り花の発売の目処が立ったというサントリーの“青いバラ”は世界中で300年前から育種家の目標だったそうです。(詳しくは最相葉月『青いバラ』をご参照ください)
このチューリップも、原種系のチューリップの一つにすぎないものを、“青い”という形容詞をつけるだけで、赤や黄色系の原種系チューリップとは別格になってしまいました。値段もまだ赤や黄の倍だし、これだけ売り切れている店も多いです。
が、園芸家の目指している青は、ツユクサや青いけしのようなスカイブルーのはず。ティコフィレアはその意味では満点の合格ですが、このチューリップは努力賞程度ではと思います。が、このチューリップは青を目指して育種されたものではなく、自然に与えられたままの色。勝手に人間が理想に合わせて、青に近い努力賞などと言われてもたいそう迷惑なことでしょう。私としては、“青いチューリップ”ではなく、学名に「アルバ」とあるように、白系のチューリップとして鑑賞するつもりです。
この数年でチューリップの品種が随分とにぎやかになりました。と共に、八重咲きや豪華なフリンジ咲きの豪華な品種が山盛りに積まれて百円以下で売られている光景には目を覆いたくなる気持ちもあります。
チューリップがこんなに安くなったのは、オランダからの球根の輸入が容易になったからです。その規制が緩和されたのは90年の花博で、チューリップの花壇を作るための大量の球根を輸入する必要から緩和したそうです。そのおかげで青いけしも展示できたし、その後の園芸界がすっかり変わってしまいました。
夢のような植物を手元で栽培できることと、それらがあまりに安易に手に入る手ごたえのなさと、植物愛好家として夢を持ち続けるのも楽ではありません。

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