春が来た
入学や就職、結婚と希望に胸が膨らむ「春」。幼い頃、近江鉄道の線路跡(現国道421号)の土手で思いっきり遊んだ記憶が僕の「春」。今から考えると、何がそんなに楽しくて嬉しくて転げ回っていたのだろう…。雑草に包まれた長い土手は春にもなると黄色いたんぽぽが目立つ。段ボールを尻に敷き、何度も何度も土手を滑るのである。それが飽きたら「土筆」を探す。気がつけば小さなものから大きなものまで両手いっぱいに摘んでいる。夕食の食卓には、ちゃんとこの土筆がおかずの一品に顔を覗かせている。とりわけ僕はてんぷらにして食べるのが好きだった。自分の摘んだ土筆を食べることに満足感を覚えた。当時、カロリーが高いとか、塩分の取りすぎとか、そんな悠長な言葉を耳にすることは皆無であった。口に入ることが大事である。土筆のはかまと言われるところを丁寧に取り、よく水であらう。二、三本まとめて、そのままころもにつけ、カラッと揚げるのである。仕上げは薄く塩をまぶして食べるのである。まさに、「旬を食べる」である。こんな料理、今では高級料理店でしか口にすることができない。この春、新鮮な素材を自らの手で探し、口にすることをお勧めします。きっと、何処からか、楽しい嬉しい事が舞い込んで来るに違いない。「
春が来た、春が来た、何処に来た…」

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